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トップページ > 相談窓口 > 東京都消費者被害救済委員会 > パーソナルトレーニング契約の中途解約に係る紛争

更新日:2023年9月7日

「パーソナルトレーニング契約の中途解約に係る紛争」はあっせん解決しました
~パーソナルトレーニングの契約トラブルに注意!~

令和5年9月7日
生活文化スポーツ局

 都内の消費生活センターには、パーソナルトレーニング契約に関する相談が多く寄せられています。
 本日、知事が東京都消費者被害救済委員会に付託していた標記紛争について、あっせん解決したと報告がありましたので、お知らせします。

 パーソナルトレーニング契約の中途解約に係る紛争(イラスト)

消費者へのアドバイス

  • トレーニングジム等は店舗で契約した場合、原則、クーリング・オフできません。 
  •  広告だけで判断せず、事前にトレーニング内容や金額などの情報を収集し、複数の事業者を比較検討しましょう。
  • 無料体験やカウンセリングの当日に申し込めば入会金免除や料金割引になるなどと、契約を急がされても、その場で決めてしまわずに慎重に考えましょう。
  • 必ず契約書面や規約で、契約期間や金額、支払方法、解約時の手続・条件などを十分に確認しましょう。
  • おかしいと思ったとき、トラブルになったときは、消費者ホットライン(188番)へ電話を。

東京都消費者被害救済委員会とは

 東京都消費者被害救済委員会(会長 村 千鶴子 弁護士・東京経済大学現代法学部教授)は、都民の消費生活に著しく影響を及ぼし、又は及ぼすおそれのある紛争について、公正かつ速やかな解決を図るため、あっせん、調停等を行う知事の附属機関です。

紛争の概要

【申立人】 20歳代 女性

【相手方】 パーソナルトレーニングジム運営事業者

【申立人の主張による紛争の概要】
 無料で体組成計測ができるというインターネット広告を見て、相手方パーソナルトレーニングジムに行った。応対した従業員に10キロから15キロ減量したいと伝えたところ、「48回の半年のプランなら、絶対効果が出るって実感する。」、「今日じゃないと入会金無料や10%オフは適用されない。」などと勧誘され、6か月間で30分のパーソナルトレーニングが48回受けられる約30万円のプランの契約を締結し、クレジットカードで決済した。
 3か月たったころ、トレーナーの個別指導の下でトレーニングをしている最中に腰を痛め、翌日から5日間入院した。まだ14回しかトレーニングを受けていなかったが、医者から、今後ジムに通うのは控えた方がいいと言われたので、解約と返金を申し出ると、ジムの求める内容を記載した診断書が提出されなければ返金できないと断られた。
 納得できず、消費生活センターに相談し、解約通知書を送ったが、一度購入したチケット料金は返金できないと契約時の確認書の条項にあるとして、一切の返金に応じてもらえなかった。 

あっせん解決の内容

 本件契約は、「パーソナルトレーニング」という役務(サービス)を提供する契約です。役務提供契約は、民法上は準委任契約に分類されますが、準委任契約は、どちらの当事者からでも、いつでも解除することができます。よって、委員会は、申立人の申出により本件契約が解除されたことを理由として、申立人から相手方に支払われた役務の対価から、既に提供された役務の対価を引いた差額の返還を求めるあっせん案を提示したところ、当事者双方で合意が成立しました。

パーソナルトレーニング契約のトラブル

 パーソナルトレーニングは、コロナ禍を背景に、急速に広まった新しいサービスです。法的規制や業界の自主規制がまだ不十分なため、様々な消費者被害が発生しているのではないかと考えられます。都内消費生活センターへの相談も年々増加しており、広告や事前説明とサービス内容が異なる、中途解約を申し出たら拒否されたなどの契約トラブルが寄せられています。

パーソナルトレーニングに関する相談件数の推移(都内)

※ スポーツジム等に関する相談のうち、個別指導を受けるサービスで、契約金額が5万円を超えるもの。

今後の東京都の対応

  • 消費者への注意喚起
  • 国や関係機関への情報提供
  • 都内の消費生活センターへの情報提供

消費者注意情報

東京都消費者被害救済委員会における審議の概要

本件契約における問題点、あっせん案の考え方

1 本件契約の法的性質と事案の特徴

(1) 本件契約は民法上の準委任契約に該当し、申立人の相手方に対する請求は、準委任契約の中途解約に伴う  清算金返還請求と位置付けられる。
(2) 本件役務は、特定商取引法に定める特定継続的役務として指定されるものには当たらない。
(3) 本件契約は、申立人が解除する旨の意思表示をしたことをもって解除された。

2 消費者契約法上の問題点

(1) 本件契約書と同時に、相手方が申立人に対して署名等を求めた本件確認書には、中途解約に際して回数チケット料金等の購入後の返金はできない旨のチェック項目が設けられており、申立人はチェックをした上で署名している。
(2) 本件確認書の内容は、本件契約の内容に取り込まれたといえるが、消費者契約法第9条第1項第1号が適用され、相手方に生ずべき平均的な損害を超える金額は、申立人に返金しなければならない。

3 景品表示法上の問題点

 「月々〇〇円~」、「初月0円」、「プロのトレーナー」との広告表示及び他社との比較広告の表示は、景品表示法第5条不当表示(第1号:優良誤認表示 、第2号:有利誤認表示)に該当する可能性がある。

4 安全配慮義務について

 本件契約は、準委任契約であり、受任者である相手方は、委任者である申立人に対して善管注意義務を負う。また、事業者は、消費者に対して、本件契約上の付随義務ないし信義則上、安全配慮義務を負っていると解される。

 

同種・類似被害の再発防止に向けて

1 事業者に対して

(1) 広告の表示は、消費者がどのように認識するかを基準に判断すべきである。「プロのトレーナー」との表示は景品表示法に定める優良誤認表示に、「月々○○円~」や「初月無料」との表示は有利誤認表示に該当する可能性がある。事業者には、広告を速やかに見直し適正化するよう求めたい。
(2) 契約締結について勧誘する際は、役務の内容、料金、支払条件など、消費者にとって分かりやすい資料を用いて説明すること、あわせて、消費者が熟慮した上で選択できるよう配慮することを求めたい。
(3) 消費者からの中途解約の自由と合理的な清算ルールを契約条項に盛り込むこと。さらに、自主的にクーリング・オフ類似制度の導入を検討されることも求めたい。
(4) お客様相談室などの統一的な苦情処理体制の確立を求める。あわせて、苦情内容に基づいて実態調査を行い、現場の体制、広告、契約などの問題点を改善できるよう体制整備することを求める。
(5) 事業者は、消費者に対する安全配慮義務を負う。そのため、利用者の健康状態の把握と社内における情報共有システムの確立、トレーナーの質の確保、研修制度の確立を求める。

2 消費者に対して

(1) 契約を締結する前に、複数の事業者について情報収集し、比較検討すること。
(2) 直接施設を訪問して、トレーニング内容やトレーナー、料金、中途解約条件などを確認すること。
(3) 契約した責任は、消費者自身にもある。慎重に確認し、内容を理解し納得した上で契約すること。
(4) トレーニングの都度、所要時間、トレーニングの内容、感じたこと、体調などについて記録をとること。
(5) トレーニング中に事故などが起きた場合、トレーナーの指示とは関係なく、医療機関を受診すること。

3 行政に対して

(1) パーソナルトレーニングの相談情報を収集し、消費者に対して迅速に分かりやすく情報提供する。
(2) 現在パーソナルトレーニングに対する相談が増加し、中でも解約・返金に関する相談が半数を占めている。今後もこのようなサービスは拡大することが見込まれることから、消費者被害の防止及び被害救済のために、パーソナルトレーニング契約を特定継続的役務提供取引に追加することを求める。
(3) 身体的な運動などを指導するトレーナーについて公的資格制度を導入することにより、消費者は、サービスの質と価格の合理性と自分のニーズに応じた事業者選択が可能になると考えられる。

※本件の詳細は、報告書をご覧ください。

印刷用PDFはこちら(PDF:2,097KB)
パーソナルトレーニング契約の中途解約に係る紛争(報告書)(PDF:974KB)

 

困ったときにはまず相談を!!

おかしいなと思ったら、最寄りの消費生活センターにご相談ください。

東京都消費生活総合センター
03-3235-1155(相談専用電話/相談窓口のご案内
 

 

お問い合わせ先

東京都消費生活総合センター活動推進課消費者被害救済担当

電話番号:03-3235-4155