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読者レポート

ペットとの快適ライフ ~トラブルを防いで心豊かに~

読者委員 寺本 日名子てらもと ひなこ

 皆さん、動物はお好きですか?
 犬や猫などのペットは、癒してくれたり、生きがいを与えてくれる大切な存在として、多くの家庭で飼われています。
 今回はそんなペットとより良く暮らすために、私たちができることを読者の皆さんにご紹介したいと思い、日本で最も歴史のある動物愛護団体である、(公財)日本動物愛護協会を取材しました。

寺本委員(左)と(公財)日本動物愛護協会 事務局長の廣瀬さん

ペットを巡る現状

 ペットは大切な家族であると多くの方が考えています。しかし取材を通して、さまざまな事情により行き場を失ってしまう動物がたくさんいることを知りました。そこで今回は、人とペットが幸せに暮らすために、日本動物愛護協会が取り組まれていること、そしてペットを飼おうと思っている人にぜひ知ってほしいことを伺ったので、ご紹介します。

日本動物愛護協会の活動

 取材に伺った日本動物愛護協会の活動は、次の三つを柱としています。

動物の命を守る活動

  • 行き場を失った犬や猫の譲渡会の開催
  • 全国から寄せられる動物相談に対するアドバイス など

社会への提言活動

  • 動物愛護週間(毎年9月)でさまざまな催しを開催
  • テレビやラジオなどでの啓発 など

命の大切さを知ってもらう活動

  • 学校や企業での講演会の開催
  • 自治体や全国の小中高等学校に、殺処分低減や飼い主の責任を考える啓発冊子やポスターを配布 など

(右のポスターは中学校の道徳の教科書にも採用されました。)

(上のポスターは中学校の道徳の教科書にも採用されました。)

飼い主に必要な10の条件

 ペットを飼う前はその可愛さばかりを考えてしまいがちです。しかし、どんな動物もその世話は簡単ではないことと、その動物にあった適正な飼い方(適正飼養)があることを知る必要があります。日本動物愛護協会では、「飼い主に必要な10の条件(表参照)」を提言しています。

  1. お住まいはペットを飼える環境ですか?
  2. 家族全員、ペットを飼うことに賛成していますか?
  3. 家族に動物アレルギーの人はいませんか?
  4. 寿命が来るその日まで、お世話をしてくれますか?
  5. ペットのお世話は365日お休みなしです。その時間と体力と覚悟はありますか?
  6. 年を取ったペットのお世話ができますか?
  7. ペットの一生にかかるお金をご存知ですか?
  8. 近隣に迷惑をかけないようにルールを教えることができますか?
  9. 転勤や引越が決まっても、一緒に連れて行けますか?
  10. 緊急時、代わりに飼ってくれる人がいますか?

 以下では、その中のいくつかをご紹介します。

飼育環境について ❶

 室内で飼う場合、ペットが安全に過ごせる環境が必要です。ペットが異物を誤飲しないように部屋を整理整頓し、火を使う台所などには行けないよう柵を設けるなどの工夫が必要です。猫の場合は、室内で上下運動ができれば広いスペースでなくても大丈夫だそうです。

お世話の負担について ❹~❻

 室内で飼う猫の寿命は16年前後と言われています。一方で犬は犬種によって異なるそうです。また、犬の場合は基本的に毎日の散歩が必要となります。ペットの幸せは飼い主にかかっています。ペットが寿命を迎えるまで適切な世話ができるかを充分に考える必要があります。

ペットに要するお金について ❼

 ペットにかかる費用は、餌代をはじめ、医療費(健康診断費含む)、ワクチン代、トリミング代(必要かどうかは犬種による)などさまざまです。特に医療費については、ペットには公的な健康保険の制度がないことから高額になる場合もあります。
 ペット保険もありますが、保険によっては適用される病気や怪我が指定されている場合もあります。そのため保険への加入を検討する際は、あらかじめ補償内容や保険料など、契約内容をよく調べることが重要です。

最後まで命への責任を果たす ❾ ❿

 ペットの飼い主には一つの命を預かる重大な責任があります。今は問題なく飼うことができていても、引越や飼い主の病気などでペットのお世話ができなくなることもあります。そのような事態に備え、家族や友人など代わりに飼ってくれる方をあらかじめ探しておくことも重要です。

 以上のポイントを参考に、ペットを飼う前に家族で話し合い、将来を見据えた選択をすれば、途中で飼えなくなってしまうといった事態を防ぐことができると思います。

ペットショップで購入する際には

第一種動物取扱業者標識 ペットを迎え入れる方法は、各団体が開催する譲渡会の他にもさまざまありますが、ペットショップで購入する際に知ってほしいことをご紹介します。

動物取扱業の登録

 ペットショップなど営利を目的として動物を取り扱う業者は、動物愛護管理法により地方自治体への登録が義務付けられています。登録業者は店舗に「第一種動物取扱業者標識」を掲げているので、購入の際に確認するようにしましょう。

ペットの購入などに関する相談

 消費生活センターにはペット購入に関するトラブルなどの相談も寄せられているそうです。飼い主の責任や負担を購入前に十分に検討したうえで、ペットショップの販売員の説明をよく聞き、納得してから購入することがトラブルを避けるうえで重要です。

取材を終えて

 ペットはとても愛しい存在です。ですが、人間と同じ様に病気もするし、介護が必要な時も来るかもしれません。その理解と準備を忘れずに、そして「飼い主に必要な10の条件」を検討したうえで、ペットと共に日々の生活を送ることができれば、とても幸せなペットライフになるのではないでしょうか。それと同時に、行き場を失ってしまう動物を減らすことにつながると、この取材を通して感じました。

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