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トップページ > 若者 > サッと読める ちょっとお耳に入れたい話 > 令和5年度第3テーマ「買う時に考えよう。捨てることは意外と難しい。」

更新日:2024年4月12日

買う時に考えよう。捨てることは意外と難しい。

暮らしの中で、ものを買ったり使ったりすることと同じように、誰もが多かれ少なかれ日々出している「ごみ」。ごみは、出し方ひとつで、資源になることもあれば、大事故を招くこともあります。持続可能な社会へ向けて、ごみになるものを買わない暮らし方、資源を循環させる暮らし方などを考えてみましょう。

ごみ物語

執筆:総合地球環境学研究所 教授 浅利 美鈴 氏

そもそも「ごみ」って?

辞書等を調べてみると「泥/その場所をよごしている/役に立たない/きたないもの」と、マイナスな表現が並びます。法律では、廃棄物処理法関係で「自ら利用したり他人に売ったりできないため不要になったもの」とされています。つまり、あなたが今その手にしている何かも、「もう要らない」と思って捨てた瞬間に「ごみ」になります。逆に「要る」と思う誰かの手に渡れば「資源」になるのです。

チリも使えば宝の山

 

「ごみ」はどれくらい出ているでしょう?

ごみは大きく、家庭から出る一般廃棄物と、工場等から出る産業廃棄物に分けられます。では、みなさんが家庭から出している一般廃棄物の量は、どれくらいでしょう?
人や家庭によって、大きく違いますが、平均すると1人1日約1kgです。決して少ない量ではありませんね。
長い目で見ると、日本人が大量のごみを出すようになったのは、戦後の高度経済成長期になります。簡単に言うと、この時期に大量生産・大量消費・大量廃棄に転換したのです。

 

「ごみ」はなぜ問題なの?

ごみが急増する中、様々な問題が生まれてきました。日本では、焼却処理が主流ですが、そこから有害なガスが出る問題や、残った灰などを埋め立てる最終処分場のひっ迫、処理にかかる費用の増大などです。これらを、制度や技術で解決に努めてきましたが、残された課題もあります。
私の恩師である高月紘先生(京都大学名誉教授)は1980年から、家庭ごみを約400種類に分類する調査を続けてこられました。その中で見えてきたことの一つは、開封もされずに捨てられた食品の存在や使い捨て商品の多さです。また、分けて出せば資源としてリサイクルできるものも、燃やすごみにたくさん入っていることです。

 

ごみを資源に変えるために、今すぐできること

ごみの分別方法は、お住まいの区市町村によって違いますが、どこでもできて効果的なのは、お店などでの個別製品の回収に協力することです。例えばスーパーの店頭で回収しているトレー類は、再びトレーに生まれ変わります。家庭でプラスチックごみとして出して、他の多様なプラスチック素材と混ざってリサイクルされるより、品質の高いリサイクルになります。
ひと手間ですが、慣れれば苦にならないものです。

分別

※イラスト:高月紘 氏(京都大学名誉教授)
 High Moon(ハイムーン)のペンネームで、環境漫画家としても知られています。

(参考)一般廃棄物処理事業実態調査の結果(令和4年度)について[PDF 787KB]外部サイトへリンク

 

執筆:総合地球環境学研究所 教授 浅利 美鈴 氏

様々な特徴を持つ「ごみ」

一言で「ごみ」といっても、実に多様です。製品が多様なので当然ですが、例えば、そもそも一緒に売られることがなかった容器と文房具、繊維類などが、家庭で使用されて、一緒に捨てられる時期を迎えることもあるので、それ以上に多様になると言えるでしょう。
中でも注意が必要なのが、危険・有害なごみです。「そんなものは、工場や病院などからしか出ない」と思っていたら大間違いです。家庭にもあり、使用中にリスクがあるものもあるのです。

悩みのごみ

 

危険な製品・ごみに要注意!

実は最近、ごみ収集車や処理施設で火災が相次いでいます。中には、大きな事故になり、数億円の復旧コストがかかるケースもあります。その原因の一つと考えられているのが、スマホや携帯扇風機、ワイヤレスイヤホンなど、みなさんが毎日使っている製品に入っている小さな電池(小型充電式電池) なのです。
製品に電池が入ったまま捨ててしまうと、回収や処理の際につぶれて発火する恐れがあります。お住まいの自治体のホームページなどで、ごみの分別方法を確認するなどして、正しく分別してください。

 

危険なごみも捨て方ひとつで貴重な資源に

電池類や小型の電化製品の分別回収は、安全性の面だけでなく、資源の面からも重要です。これらの中には、貴重・希少な金属類であるレアメタルを含むものがあるからです。日本では鉱物資源はあまり採れませんので「都市鉱山」として注目されています。公共施設や店舗で回収しているところも増えてきているので、WEBなどで、みなさんの近くの回収拠点を確認してみてください。

 

「捨てること」は意外と難しい・・・

ごみに向き合えば向き合うほど、適切に分けて、より良い資源にするためには、いろいろな知識や判断が必要だと感じます。専門家の私ですら迷うことがありますので、一般の方ならなおさらでしょう。
私の場合、製品を選ぶ段階から、捨てるときのことを考えてしまいます。「これは分別が大変そうだ」とか「燃やすしかなさそうだ」とか・・・。 楽しいお買い物ですが、少しだけ捨てるときのことも考えてみませんか?
また、再生(リサイクル)素材や再生可能(リニューアブル)素材を使った製品を購入するのも有効です。消費者の選択は、重要な投票行為です。資源の有効利用や循環に繋がる製品や、それを作るメーカーを支持するため、あなたの大切な一票(グリーン投票) をお願いします。
グリーン投票

グリーン投票(ここでは、環境に配慮していることを意思表示して購入することを指します。)

※イラスト:高月紘 氏(京都大学名誉教授)
 High Moon(ハイムーン)のペンネームで、環境漫画家としても知られています。

 

執筆:総合地球環境学研究所 教授 浅利 美鈴 氏

エコとおしゃれは両立できる?

最近、ファッションロスという単語も聞かれるようになりました。大量生産・大量消費・大量廃棄は、衣類業界にも浸透しています。毎シーズンはやりの衣類が売り出され、ワンシーズンで捨てられるものも多くあり、そのもったいなさを指摘する言葉です。衣類のリサイクルは現状、技術的にも限界があり、まだ進んでおらず、余計に問題視されるようになってきました。
そのような中、多様なファッションの在り方が注目を集めるようになってきました。例えば、アップサイクルやレンタル・シェアリングサービスなどです。おしゃれは、エコに楽しめるようにもなってきたのです。

 

アップサイクルで世界に一つのおしゃれを

再び(Re)循環する(Cycle)「リサイクル」に対して、「アップサイクル」は(価値を)アップさせて循環することを指します。使い終わったパラグライダーや電車の座席シート、球技のボールからできたバッグ、工場の端材や海洋ごみからできたアクセサリーなど、使う材料もできる製品も実に様々です。ストーリーがあるだけでなく、デザイン性が高いものも多く生み出されており、商品化されているものもあります。世界に一つしかないというのも、おしゃれ心をくすぐります。。

おしゃれはアップサイクルで

 

3Rで持続可能な社会へ

ごみは自分や社会を映す鏡だと思います。大量生産・大量消費・大量廃棄の社会システムの中で、便利な使い捨て文化に慣れてしまった私たちの生活は、いつか破綻してしまいます。もったいないごみを見ていると、切実に感じます。
変革のための行動として、3R(リデュース、リユース、リサイクル)について改めて確認しておきたいと思います。3つのRは、単に3つの行動から選べば良い訳ではありません。実は優先順位があり、一番大切なのは、リデュース(発生抑制)です。すぐにごみになりそうなものはできるだけ避け、必要なものを選んで購入し、大切に使うことが基本となります。少し高くても、良いものを長く使うのも昔からの知恵です。
持続可能な社会・・・難しく聞こえるかもしれませんが、身近な3Rから始めてみませんか?

3R

※イラスト:高月紘 氏(京都大学名誉教授)
 High Moon(ハイムーン)のペンネームで、環境漫画家としても知られています。

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お問い合わせ先

東京都消費生活総合センター活動推進課学習推進担当

電話番号:03-3235-1157