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トップページ > 消費者教育 > 基礎知識 > 基礎知識「消費者契約法」

更新日:2022年11月17日

消費者契約法

 「消費者契約法」は、消費者と事業者との間の情報の質や量、また交渉力に格差があることから、「事業者の一定の行為によって消費者が誤認したり、困惑した場合について契約を取り消すことができる」ことと、「事業者の損害賠償の責任を免除する条項、その他の消費者の利益を不当に害する条項を無効とする」ことによって、消費者の利益を擁護することを目的とした法律です。

平成28年に改正されました。施行日は平成29年6月4日です。

 1 契約を取り消すことができる事業者の不適切な行為

  • 不実告知
    事業者が契約の重要事項について「事実と違う」ことを告げた。  
    平成28年改正により、その商品やサービスが消費者の生命、身体、財産等に対する危険を避けるために必要と判断される事情について「事実と違う」ことを告げることも含めた。
  • 断定的判断の提供
    事業者が将来の見通しが不確実な事項について、「確実」と決めつける「断定的な判断」を提供した。
  • 不利益事実の不告知(平成30年改正)
    事業者が取引の重要な事項について消費者に有利な点ばかりを強調し、不利益な部分について告げなかった。
    改正前は、事業者が「故意に」告げなかった場合にのみ誤認取消が認められていたが、平成30年の改正で、「故意」を「故意又は重過失」と改正することで、消費者の立証の困難さを緩和し、適用範囲を拡大した。
  • 退去妨害・不退去
    販売会場などで、消費者が「帰りたい」と言ったのに、帰してくれなかった。また、自宅などに事業者が居座り「帰って欲しい」と言ったのに帰らなかった。
  • 過量契約(平成28年改正で追加)
    事業者が勧誘の際、契約する商品やサービスがその消費者にとって通常の量、回数を著しく超えると知りながら契約をさせた。
  • 不安をあおる告知(平成30年改正で追加)
    社会生活上の経験が乏しいことから、進学、就職、結婚、生計、容姿・体形などの願望の実現について、過大な不安を抱いていることを知りながら、不安をあおり、不安の解消に必要であると告げ、契約をさせた。
  • 判断力低下の不当利用(平成30年改正で追加)
    加齢や心身の故障により、判断力が著しく低下していることから、現在の生活の維持に過大な不安を抱いていることを知りながら、不安をあおり、不安の解消に必要であると告げ、契約させた。
  • 霊感商法等に関する不安をあおる告知(平成30年改正で追加)
    霊感その他の合理的に実証することが困難な特別な能力により、そのままでは重大な不利益を与える事態が生じる旨を示して不安をあおり、契約させた。
  • 好意感情の不当な利用(平成30年改正で追加)
    社会生活上の経験が乏しいことから、勧誘者に恋愛感情その他の好意の感情を抱き、かつ、当該勧誘者も同様の感情を抱いているものと誤信していることを知りながら、契約しなければ勧誘者との関係が破綻すると告げ、契約させた。
  • 契約前なのに強引に代金の請求をする行為等(平成30年改正で追加)
    契約締結前に契約の履行に相当する行為を実施し、実施前の現状の回復を著しく困難にしたうえで、消費者に契約締結を求めたり、契約締結前に行った準備活動等の損失補償を請求し、契約締結を求めたりして消費者を困惑させて契約させた。

※契約の取消しができる期間は、誤認に気づいたとき、または困惑を脱した時から1年(平成28年法改正で延長)、契約の時から5年です。

2 無効となる消費者の利益を一方的に害する契約条項

  • 事業者は責任を負わないとする条項(平成30年改正で対象拡大)
    事業者が損害賠償義務の責任の有無や限度を自ら決定する条項は無効。
    例:「当社に過失があると認めた場合に限り、当社は損害賠償責任を負うものとします。」という条項
  • 消費者はいかなる理由でもキャンセルできないとする条項(平成30年改正で対象拡大)
    法定解除権の存否を事業者が自ら決定し、消費者に解除権を放棄させる条項は無効。
    例:「当社に過失があると認めた場合を除き、注文のキャンセルはできません。」という条項
  • 成年後見制度を利用すると契約が解除されてしまう条項(平成30年改正で新設)
    消費者が後見開始等の審判を受けたことのみを理由として事業者に解除権を付与する条項は無効
  • 消費者の利益を不当に害する条項
    (1)平均的な損害を超える額のキャンセル料を定めた条項
    キャンセル料のうち、契約の解除に伴う平均的な損害を超える部分や遅延損害金につき年利14.6%を超える部分についての条項は無効

    (2)意思表示擬制条項(平成28年法改正で新設)
    消費者の不作為(何もしないこと)をもって新たな申し込みやその承諾の意思表示をしたものとみなす条項で他の法令を適用した場合に比べて消費者の権利を制限または義務を加重して消費者の権利を害する条項は無効
    例:掃除機を購入時に、健康食品が同封されており、電話で解約を申し出ない限り、健康食品は継続的に届けられる定期購入となると言う契約条項
    ※取消し・無効になった場合は、消費者は現に利益を得ている限度において返還義務を負います。