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更新日:2018年5月23日
平成30年5月23日
生活文化局
都内の消費生活センターにはオーディションに関連したモデル・タレント教室に関する相談が毎年多数寄せられており、平成29年度に急増したことから(後掲グラフ参照)、都は、東京都消費者被害救済委員会(会長 村千鶴子 弁護士・東京経済大学現代法学部教授)に「オーディション合格を契機としたレッスン契約に係る紛争」の処理を付託していました。
本日、同委員会よりあっせん解決したと知事に報告がありましたので、お知らせします。
【紛争の概要】 【あっせん解決の内容】 |
1 国や業界団体への情報提供 2 都内の消費生活センターへの情報提供 3 消費者への注意喚起 |
★ モデル・タレント教室に関する契約をする際は、その内容を十分に確認しましょう。
★ レッスン料等について十分な説明がないのであれば、映画出演できるということですぐに契約に応じてしまうのではなく、慎重に検討しましょう。
★ 事業者の対応に疑問を感じたら、消費生活センターに相談しましょう。
東京都消費者被害救済委員会とは、都民の消費生活に著しく影響を及ぼし、又は及ぼすおそれのある紛争について、公正かつ速やかな解決を図るため、あっせん、調停等を行う知事の附属機関です。
○申立人 20歳代女性(大学生) ○契約内容 映画出演レッスン 約70万円(クレジット支払総額 約95万円) ○申立人の主張による紛争の概要 |
相手方事業者の勧誘方法はアポイントメント・セールスに該当し、映画出演レッスン契約について、セリフがほとんどなくエキストラに等しい役となる場合もあるという重要な事実を告げていなかったことなどから、申立人は、特定商取引法に基づき契約を取消すことができる。
また、アポイントメント・セールスに該当せず特定商取引法の規制対象とならないとしても、利益になることを告げる一方で、不利益な事実を故意に告げなかったものとして、申立人は、消費者契約法に基づき、契約を取消すことができる。
本件契約は、申立人の申出によりレッスン受講前に解除され、したがって相互に何ら債権債務のないことを確認する。
1 セリフがほとんどなくエキストラに等しい役しかもらえない場合もあるという重要な事実を申立人に告げていないと認められ、契約を取消すことができる。
ウェブサイトによるオーディションへの応募及び参加がなされた後に、最終面談に関して電話にて来訪の要請がなされ、この間一貫して、本件契約の締結について勧誘するための意図や目的があることが告げられていない。したがって、不意打ち的な勧誘の要素が非常に強く、特定商取引法2条に定めるアポイントメント・セールスに該当するものと認められる。
勧誘に際して、相手方は、映画でのメインキャストとしての出演に関し、実際にはレッスン生20人で作成する映画の出演者のうちの一人であって必ずしも主役等になれるとは限らないこと、セリフがほとんどなくエキストラに等しい役しかもらえない場合もあるという重要な事実について、申立人に告げていなかった。
したがって、申立人は、役務の内容に関する事項について事実の不告知及びそれに関する誤認があったものとして、特定商取引法9条の3に基づき、当該契約の取消しをすることができる。
また、アポイントメント・セールスに該当せず特定商取引法の規制対象とならないとしても、相手方が申立人に、映画への出演が決まったと利益になることを告げる一方、上記の不利益となる事実を故意に告げなかったものとして、申立人は、消費者契約法4条2項に基づき、当該契約の取消しを主張することができる。
2 中途解約しても入学金は返還しないとする規約を設けているが、消費者契約法9条に基づき、平均的な損害の額を超える違約金は無効となる。
相手方は契約代金の三分の二を占める入学金について、中途解約しても返金しないとする規約を設けていた。本件契約における「入学金」は、大学の在学契約における入学金のように、入学し得る地位を取得する対価の性質を有するものではなく、その不返還特約は、中途解約に際しての損害賠償額の予定又は違約金の定めの性質を有すると解される。したがって、消費者契約法9条に基づき、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超える部分は無効となる。
3 販売会社の事業内容や勧誘行為等について、販売会社から個別クレジット会社へ正確な情報が伝えられる必要がある。
個別クレジット会社は割賦販売法に基づき、特定商取引法の規制対象となる取引類型の加盟店の事業内容や勧誘行為等について調査義務が課されている。クレジット会社は、相手方が提供している役務はレッスンであると認識し、オーディションなどの勧誘過程や映画制作のことは知らないと述べた。クレジット契約の締結過程の適正化のためには、役務の内容や勧誘方法に関する正しい情報がクレジット会社に伝えられることが重要であり、またクレジット会社の側としてもより正確な実態把握に努めることが求められる。
1 事業者に対して求めること
(1) 勧誘に際して説明を尽くすこと
本件では、広告等においてメインキャストと表示しながら、実際には主役か端役か決まっておらず、契約書面に「映画出演」とだけ記載している。このような情報提供は、故意に重要事項を告げないと評価されても仕方がない。また、ウェブサイト上で「参加費も無料で映画デビュー」と広告して広くオーディションという形式で契約者を募集し、オーディション応募時にレッスン料について明らかにしない勧誘方法は、消費者に支払う金銭はないと誤認させる勧誘方法である。
事業者は、消費者に対し必要な情報を明確かつ平易に提供すべきであり、取引に際して、消費者の知識、経験及び財産の状況等に配慮すべきである。
(2) 違約金条項は適切に定めること
解約違約金を定める場合には、事業者は、消費者契約法9条1号の趣旨及び学納金訴訟の最高裁判例を充分に理解した上で、金額の検討を行わなければならない。
2 クレジット会社に対して求めること
個別クレジット会社は、加盟店契約をすることにより事業を拡大し収益を上げているのであるから、消費者に対して禁止された勧誘をしていないかなど、加盟店の行為については一層の管理及び定期調査を行うべきである。
クレジット事業者団体は、会員クレジット会社に対して、適切な助言や注意喚起に努めてほしい。
3 行政に対して求めること
モデル・タレントデビューで誘い、望まない高額なレッスン契約をさせる消費者トラブルは18歳から22歳程度の若者に多くみられることから、継続的な注意喚起、啓発が必要である。
平成29年度は速報値
おかしいなと思ったら、最寄りの消費生活センターにご相談ください。 東京都消費生活総合センター 03-3235-1155(相談専用電話/相談窓口のご案内) |
オーディション合格を契機としたレッスン契約に係る紛争(報告書)(PDF:585KB)
お問い合わせ先
東京都消費生活総合センター活動推進課消費者被害救済担当
電話番号:03-3235-4155