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トップページ > 相談窓口 > 東京都消費者被害救済委員会 > 紛争処理(直近5年分) > 「エステ及び関連する商品の解約に係る紛争」あっせん解決

更新日:2021年9月22日

「エステ及び関連する商品の解約に係る紛争」あっせん解決

平成29年8月28日
生活文化局

 本日、東京都消費者被害救済委員会(会長 村千鶴子 弁護士・東京経済大学現代法学部教授)から、「エステ及び関連する商品の解約に係る紛争」(平成29年1月31日付託)があっせん解決したと知事に報告がありましたので、お知らせします。

紛争の概要

  • 申  立  人 : 50歳代の女性
  • 相  手  方 : エステティックサロン(以下「エステ店」という。)
  • 契約内容 : エステ施術及びサプリメント購入契約(契約総額 約89万円)  


 ■申立人の主張による紛争の概要
  申立人は、平成28年5月、エステ店で体験コースの施術を受けた際、10回コース(約24万円)を勧められ契約した。同時に、エステ店オリジナルのサプリメントA(10個、約13万円)を施術に必要と言われ、併せて購入した。
  月1回の施術の度に、サプリメントの飲用状況を確認され、飲み忘れると施術内容が変わった。7月に施術効果をさらに高める別のサプリメントB(3か月分、約4万円)を勧められ購入した。4回目の施術時(10月)に、施術料金が1回につき1万円値上がりすると言われたため、20回コース(約44万円)を契約した。また、サプリメントB(3か月分、約4万円)を追加購入した。
  その10日程後、夫から転勤の可能性があると聞いたため、翌年5月以降の施術開始となる20回コースの解約をエステ店に申し出た。契約書面には中途解約の規定があるが、エステ店は「自己都合による解約は認めない」という特約があるとして中途解約に応じなかった。消費生活センターにも相談したがエステ店はセンターのあっせんを認めず、さらに解約しないよう求めるメールまで届いた。
  当初は20回コースの解約希望であったが、このようなトラブルになったため10回コースの未施術分(6回)も中途解約し、不要となる未開封のサプリメントを返品するので返金して欲しい。なお、サプリメントについては契約書面に記載がなく、エステ店は施術と関連がない推奨商品として返品・返金に応じない。

あっせん解決の内容

  10回コースについては、4回分の施術済代金と未施術分代金の10%(解約料)を申立人が負担し、その余の金額(約13万円)を相手方から申立人へ返還する。
  20回コースについては、相手方は代金全額(約44万円)の請求を取り下げる。
  サプリメントについては、申立人は未使用分を相手方へ返還し、相手方はその代金分(約10万円)を申立人へ返還する。

主な審議内容

1 特定継続的役務提供契約における契約書面の記載事項の意義
   特定商取引法は、事業者に対し、契約書面に同法に定められた事項(金額や支払時期・方法等)を記載して消費者へ交付することを義務づけており、全てが正しく記載された書面が交付されない場合、消費者はクーリング・オフ期間を過ぎても契約を解除することができる。 
   消費者に対して、重要事項を正確に情報提供した上で契約するかを選択する機会と、契約後のクーリング・オフ期間(8日間)を与えるためである。
   さらに、特定継続的役務提供契約では、「当該役務の提供に際し当該役務の提供を受ける者が購入する必要のある商品がある場合にはその商品名」(以下「関連商品」という。)についても記載することが定められている。

2 特定継続的役務提供契約における関連商品の考え方
  
提供される役務と併せて購入する商品については、事業者から商品名を告知しなければ、消費者はその存在自体を認知しえない。情報を持つ事業者が役務との「関連性」や「必要性」を判断し、その情報を消費者へ提供して、役務と併せて指定商品を販売した場合は、関連商品に当たる。
   事業者が、「必要性」を限定的に解釈して、「推奨商品」等と称し「関連性」を否定して、役務のクーリング・オフや中途解約に伴う関連商品の返品返金を拒むことは、特定商取引法の規制の趣旨に反する。
※ 特定商取引法施行令において、関連商品に指定する品目が定められており、エステティックサービスの場合は、化粧品やいわゆる健康食品などが指定されている。

3 本件サプリメントの関連商品該当性
   本件では、相手方は、サプリメントは推奨商品であって特定商取引法の関連商品に当たらないと主張し、契約書面にも記載をしていなかった。しかし、本件サプリメントについては、その飲用を前提とする施術であるとのパンフレットの表示や施術効果を高めるといった告知がなされていることから、関連商品に該当する。

4 契約書面記載不備とその効果、あっせん案の考え方
   本件10回コース、20回コースの各役務提供契約及び付随するサプリメント売買契約においては、関連商品名だけでなく関連商品を含む金銭の総額や支払時期・支払方法等(法定記載事項)の不記載や、概要書面と契約書面の記載事項の不一致が認められた。これらのことから、法定書面の交付があったとはいえず起算日が進行しないため、8日間を過ぎてもクーリング・オフの主張が認められる事案である。
   しかし、10回コース及びサプリメントについては、申立人の中途解約に準じた処理でよいとの意向を考慮し、中途解約の処理により精算した。20回コースについては、クーリング・オフが成立していることから、相手方の代金支払請求を認めないこととした。

  同種・類似被害の再発防止に向けて

1 事業者に対して
(1) 関連商品を販売する場合は契約書面・概要書面に記載すること
 
   特定商取引法で定める関連商品を販売する場合は、「推奨商品」等と称して関連商品性をことさら限定的に解釈するのではなく、同法の規制に従い、契約書面及び概要書面に明記しなければならない。積極的な情報提供は、消費者の安心感や信頼の醸成にもつながり、ビジネス上有益と思われる。 

(2) 解約申出に対する遅延行為や妨害行為をしないこと
   特定商取引法上、クーリング・オフや中途解約の申出があった場合、事業者は無条件に受け入れなければならず、特約によりこれらの解約の権利を制限することはできない。また、解約に至る経緯や事情を聞き出して代替案を提示して翻意を促すことは、同法の禁止行為(解約拒否・遅滞、解除妨害)に該当するので、すぐに是正しなければならない。

(3) 消費者からの苦情や問い合わせに誠実に対応すること
   消費者からの直接の申出等への誠実な対応はもちろんのこと、消費者から相談を受けた消費生活センターからの照会やあっせん等についても、消費者基本法の位置づけを有することを認識し、適切な対応を行うべきである。

2 行政に対して
  
エステティックサービスなどの特定継続的役務提供契約では、役務のクーリング・オフや中途解約に伴い、関連商品もクーリング・オフや中途解約が可能であり、特定商取引法に定められた精算が行われなければならないが、そのことを知らない消費者が存在する。
   関連商品について特定商取引法の趣旨に沿った運用がなされているかを調査分析し、消費者向け広報や事業者指導など適切な措置を講じる必要がある。

 消費者へのアドバイス

   エステティックサービス等の契約をする際には、書面の内容をよく読み、勧誘時に説明されたことが漏れていないか、逆に不利益な事項が記されていないかを確認しましょう。不明な点があれば、事業者へ説明を求めたり、一旦書類を持ち帰り消費生活センターに相談するなどして、内容を理解してから契約をしましょう。

 困ったときにはまず相談を!!

  おかしいなと思ったら、最寄りの消費生活センターにご相談ください。イメージ
  東京都消費生活総合センター
  03-3235-1155(相談専用電話/相談窓口のご案内

印刷用PDFはこちら(PDF:589KB)

報告書

 エステ及び関連する商品の解約に係る紛争(報告書)に係る紛争(PDF:651KB)

お問い合わせ先

東京都消費生活総合センター活動推進課消費者被害救済担当

電話番号:03-3235-4155