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令和元年度
小学生・中学生・高校生の消費生活相談概要

東京都消費生活総合センター 相談課

令和元年度に東京都内の消費生活センターに寄せられた相談総数は139,305件で、そのうち「若者相談」(契約当事者が29歳以下である相談)は15,630件であり、全体の11.2%でした。

契約当事者が小学生・中学生・高校生の相談件数

契約当事者が小学生・中学生・高校生の相談総数は1,562件で、前年度の1,010件に対して54.7%増加しています。またその内訳は、小学生211件、中学生552件、高校生799件でした。

契約当事者が小学生・中学生・高校生の相談件数に関する棒グラフ

相談内容の内訳

小・中・高校生全体でみるとインターネットを通じて得られる「デジタルコンテンツ」が上位を占め、特に小学生の相談では68.2%と多く、中学生の相談でも36.2%になっています。

また、「化粧品」と「健康食品」で占める割合が、高校生の相談では約5割、中学生でも約4割となっています。これは、インターネットなどの通信販売で、複数回以上の継続購入であることに気づかなかったといういわゆる定期購入トラブルが増えていることから、脱毛クリーム、ニキビケアクリーム、二重瞼用化粧品、歯磨き粉などの「化粧品」とダイエットサプリ、バストアップサプリ、筋肉増強サプリ、酵素食品などの「健康食品」が急増したためです。

このほか、「コンサート」「学習塾」などに関する相談も目立ちます。(表1)

「デジタルコンテンツ」の内訳を見ると、小・中・高校生ともに「オンラインゲーム」の相談が多くを占めています。「オンラインゲーム」では、親が気づかないうちに子どもが親のスマートフォンやクレジットカードを使って課金したことで高額請求を受けたとの事例が多く寄せられています。

このほかでは、「アダルト情報サイト」、占いサイト、ゲームソフト、漫画サイト、情報商材のアプリ購入などの「他のデジタルコンテンツ」、有料サイト利用料の架空請求などの「デジタルコンテンツ@」に関する相談も寄せられています。(表2)

【表1】令和元年度 小学生・中学生・高校生別 相談が多く寄せられた商品・サービス別一覧

小学生(211件)
内訳 件数 %
デジタルコンテンツ 144 68.2
健康食品 21 10.0
玩具・遊具 7 3.3
化粧品 6 2.8
スポーツ・健康教室 3 1.4
中学生(552件)
内訳 件数 %
デジタルコンテンツ 200 36.2
健康食品 153 27.7
化粧品 85 15.4
学習塾 8 1.4
携帯電話サービス 5 0.9
高校生(799件)
内訳 件数 %
化粧品 189 23.7
健康食品 185 23.2
デジタルコンテンツ 103 12.9
コンサート 19 2.4
音響・映像機器 12 1.5
学習塾 12 1.5

【表2】令和元年度 デジタルコンテンツに関する相談の内訳及び割合

小学生(144件)
内訳 件数 %
オンラインゲーム 114 79.2
アダルト情報サイト 16 11.1
デジタルコンテンツ@ ※1 7 4.9
他のデジタルコンテンツ ※2 7 4.9
中学生(200件)
内訳 件数 %
オンラインゲーム 117 58.5
アダルト情報サイト 37 18.5
他のデジタルコンテンツ ※2 23 11.5
デジタルコンテンツ@ ※1 15 7.5
出会い系サイト 6 3.0
映画配信サービス 1 0.5
投資情報サイト 1 0.5
高校生(103件)
内訳 件数 %
オンラインゲーム 32 31.1
他のデジタルコンテンツ ※2 21 20.4
アダルト情報サイト 19 18.4
デジタルコンテンツ@ ※1 17 16.5
出会い系サイト 8 7.8
映画配信サービス 4 3.9
音楽情報サイト 2 1.9
  • ※1 「デジタルコンテンツ@」は、有料サイト利用料の架空請求に関する相談等
  • ※2 「他のデジタルコンテンツ」は、アダルト情報サイト、出会い系サイト、オンラインゲーム、映画配信サービス、音楽情報サイト、ギャンブル情報サイト、投資情報サイト以外のさまざまなデジタルコンテンツに関する相談

相談事例

オンラインゲームの課金トラブル

小学生の息子はコロナウイルスの影響で学校が休校中になっている。 その間に私のタブレット端末でオンラインゲームをしていた。今月支払い分のクレジットカードの利用明細を見たら、2月中旬から約1か月で10万円ほどの課金をしていたことがわかった。息子は有料になっていたことは気がつかなかったと言っている。今後どう対応すればよいか。

消費者及び教員の方へのアドバイス

オンラインゲームでの課金トラブルのように、クレジットカードを利用してもお金を支払っている意識がない場合がみられます。クレジットカードを使用することは、お金を支払っていることと同じであることを理解させましょう。また、親権者はスマートフォン、タブレット端末におけるクレジットカード情報の登録状況やキャリア決済※3の設定状況を確認するとともに、クレジットカードやキャリア決済の暗証番号の管理を徹底しましょう。なお、未成年者が行った契約は取消しができる場合があります。

ただし、未成年者による詐術(成年であるかのように事業者をだます行為)があれば取消しはできません。

  • ※3 キャリア決済とは、携帯電話会社のIDやパスワード等による認証で商品等を購入した代金を、携帯電話の利用料金等と合算して支払うことができる決済方法のこと。

定期購入と気づかせずに購入させるトラブル

「健康食品」

私は中学生。スマートフォンの動画投稿サイトに表示された「初回10円」という広告を見て、私のお小遣いでも買えると思い、WEBサイトからダイエットサプリを注文した。WEBサイトの規約などはほとんど見ないで、コンビニ払いを選択して注文したが、注文完了後に届いた受付完了メールを見て、6か月間は購入しなくてはならない定期購入の商品だと、初めて気がついた。発送予定日は昨日の日付で、まだ商品は自宅に届いていない。親に知られずに、この注文を解約したいが、どうすればいいか教えてほしい。

「化粧品」

私は高校生。スマートフォンのSNSの広告で見つけた980円お試しのムダ毛処理クリームを注文し、商品が届いた。お試し1回だけの購入で済むと思っていたが、6回までの契約が必要な定期購入で、2回目以降は1回の料金が6千円の合計3万円を超える契約になることを知った。注文時は、定期購入だとわからなかった。自分で業者に連絡をしてみたが、1回の商品を定価の約1万円で買い取るなら解約に応じると言われた。今回の購入について、両親に事前の了解を得ておらず、また総額3万円は自分のお小遣いの範囲を超えている。1回目の支払期日が迫っており、どう対応すればいいか教えてほしい。

消費者及び教員の方へのアドバイス

新型コロナウイルス感染拡大防止のため、自宅で過ごす時間が増えていることに伴い、インターネット通信販売トラブルに関する相談が増加傾向にあります。特に、「お試し」「初回限定」「モニター」等と初回の安さに注目させ、未成年者がお小遣いで気軽に購入できる金額で広告し、高額なサプリメントや化粧品等の定期購入の契約をさせるトラブルが目につきます。こうした販売方法があるということを知り、学校や家庭で共有しましょう。また、サイト内の購入条件や返品・解約のルールをきちんと確認してから申し込みをしましょう。

「成年年齢引き下げ」を踏まえ若年者の消費者被害を防止するために

令和4年4月の改正民法の施行により、成年年齢が20歳から18歳へ引き下げられます。施行後は、18〜19歳の被害に対して未成年者取消権が使えなくなるため、消費者被害が拡大するおそれがあります。18歳で急に成年としての責任について自覚が芽生えるものではないため、早い時期から段階的に、繰り返し、社会情勢の変化に対応した実践的・効果的な消費者教育を行っていくことが必要です。