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東京都消費生活総合センターが、平成29年度に製作した高校生向け消費者教育DVD「住まいの知識は一生の知識〜安全で快適な住生活のために〜」の監修者である日本女子大学家政学部住居学科 准教授細井昭憲氏により、この度、当該DVDを使用した授業が行われましたので、その概要をご紹介します。
今回の授業は、日本女子大学附属高等学校の学生を対象に、住環境のうち「通風・換気」「日照・採光」について当該DVDを使用した模擬授業が行われました。
まず「中東オマーンでは最低気温が42.6℃となったり、日本でも豪雨災害が頻発していたりと地球環境は変動しています。温暖化による猛暑、その対応として空調使用によるエネルギ―使用量の増大はCO2 排出量を増やし……と更なる温暖化になる循環となっています。」と最近の温暖化による異常気象を話題にすることで、生徒たちに住環境への関心をもたせました。
住環境が、温熱環境、空気質、光環境、音環境、給排水衛生の5つの分野で構成されていること、今回監修したDVDでは、5つの分野のうち温熱環境と空気質から「通風・換気」、光環境と温熱環境から「日照・採光」を取り上げていることのご説明がありました。
まず、段ボールの箱の中に煙を充満させ、窓に見立てた開口部から一定量の風を送り込む実験映像を視聴しました。
対面する窓の場合、ダンボール内の煙を排出するのに約24秒でしたが、直交する窓の場合、横位置の窓が開口部に近い方では約33秒、開口部から遠い方では約29秒かかりました。
ここで、細井氏はDVDを止め、横位置の窓が開口部に近い場合、風が奥まで行かずに横位置の窓から抜けるため奥の空気が滞り、段ボール内のすべての煙が排出するのにより時間がかかることをご説明されました。
次に、対面する窓で実験した映像を視聴しました。風の入る入口の窓が大きくても、出口の窓が小さければ、小さい窓の大きさに準じた通風になること、つまり入口や出口に関わらず小さい方の窓の大きさに準じた通風になることを、1つ1つ実験の内容とその結果についてご説明されました。
温度差換気の説明映像を視聴し、次の通りご説明されました。
日照や採光では、窓は大きい方が多くの光を取り入れることができるが、窓の位置は、低い場所よりも高い場所のほうが、実際の日射量が多いために部屋全体を明るくすることについてご説明をされました。
一方、大きな窓で採光を良くすると、直射日光が床などに反射して眩しく感じ、かえって部屋の中で暗く感じる部分が増えることなどをご説明され、室内の明るさの調整は単に光の量を確保するのではなく、快適な採光計画や照明設計が必要であることなどをご説明されました。
(詳細は当該DVD本編及びDVDに収録した解説書をご参照ください。)
このようにDVDを要所要所で止めながら、DVDの内容をかみ砕いて説明されていました。
最後に細井氏は、地球環境の維持に取り組むためには、まずは身近な住宅の環境調整を考え、そのための地域の環境形成、さらに地域の環境形成のための地球環境問題を具体的に考えることが重要であり、技術だけではなく、歴史、経済、政治を含む総合的な視点が必要であると話され、授業は終了しました。
東京都消費生活総合センター学習推進担当
TEL:03-3235-1157
東京都消費生活総合センター図書資料室
TEL:03-3235-1179
東京都多摩消費生活センター図書資料室
TEL:042-522-5119