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読者レポート

早めに気軽に相談を!被害を防ぐ知恵袋
東京都消費生活総合センターへ

読者委員 村山 厚子むらやま あつこ

 私たちは日々、生活の必要から、また生活を楽しむために商品やサービスを購入しています。さまざまな情報があふれる中、一人一人が賢い消費者となり、消費者トラブルに遭わない力をつけることが求められています。
 でも、もし消費者トラブルに遭ってしまったら、身近に相談できるところがあれば心強いですよね。今回は、そんなときに頼りになる、東京都消費生活総合センターを取材しました。村山委員(左)と消費生活専門課長 高村さん(右)

東京都消費生活総合センターの相談体制

 飯田橋にある東京都消費生活総合センターには、専門資格を持つ44名の相談員が所属し、都民の消費生活に係る相談全般に対応しています。
 東京都消費生活総合センターの特徴は、相談員が、10の専門分野グループ(金融・多重債務、サイドビジネス、通信・デジタルコンテンツ、美容等、不動産、高齢者支援ほか)に分かれて活動していることです。分野ごとに集中的に情報を集めて分析・整理を行い、相談処理に役立てています。1グループ4名ほどで構成され、困難な相談などの場合、メンバー間で話し合いながら対応できることが強みだそうです。

センター・オブ・センターズ

 東京都消費生活総合センターは、センター・オブ・センターズと言われています。それは、相談体制の規模が大きく、被害やトラブルの情報が大量に蓄積されていて、都内区市町村の相談業務をバックアップできる存在だからです。
 東京都消費生活総合センターが持つ情報(悪質商法の新しい手口や相談処理に必要な情報など)を都内区市町村の消費生活センターと共有することで、都内どこでも同じレベルの相談が受けられるようにしているそうです。

消費生活相談の傾向

 令和元年度に都及び都内区市町村の消費生活センター等に寄せられた相談は約13万9千件で、2年連続で13万件を超えています。そのうち都が受け付けた相談は約2万9千件、区市町村が受け付けた相談は約11万件です。

 相談内容では、健康食品や化粧品などの「定期購入」に関する相談が前年の約2倍に増加しています。また、「架空請求」に関しては、メールやはがきに加えて、昨年から封書の送りつけも目立つそうです。
 高齢者(60歳以上)の相談件数は約5万2千件で、相談全体の約4割を占めています。
 高齢者は在宅していることが多いことや、かかってきた電話にきちんと出ることを逆手に取られて、悪質な事業者に狙われやすいのではないかと思いました。

高齢者の被害防止に向けて

 高齢者の場合は、被害に遭ってしまうと「自分にも責任がある」と思って相談できないなど、被害が表に現われにくい傾向があるそうです。
 悪質な事業者は、手を替え品を替え消費者をうまく取り込み、契約を迫ります。悪質商法の被害に遭っても、それはだます側が悪いのですから、自分を責めずに、早めに相談することが大事です。この取材中に課長が、「被害にあってもそれを恥ずかしいとは思わないでほしい」と強調されていたのが印象的でした。
 東京都消費生活総合センターでは、「高齢者見守りホットライン」(☎03-3235-1334)を設けて、高齢者の周りにいる方々、ケアマネージャーやヘルパーなどの介護関係者からの相談も受けています。もし、高齢者宅に普段見慣れない人が出入りしていたり、本人が困っているような様子が見られたら、消費生活センターに連絡してみましょう。
 80歳以上の相談の約3分の1は、家族や介護関係者などの本人以外からの相談だと聞き、高齢者の被害防止には、地域の見守りも重要だと感じました。
 なお、消費者トラブルかどうか分からない場合は、地域包括支援センターに相談すると、適切な機関につないでくれるそうです。

相談にあたって

 相談は、電話または来所で受け付けます。来所の相談に予約はいりません(※)。相談窓口の電話番号がわからなくても、最寄りの消費生活センターにつながる消費者ホットライン188(局番なし)もあるので、活用してくださいとのことでした。
 相談をすると、相談員がトラブル解決に向けてのアドバイスを行います。相談をスムーズに進めるため、関係する資料を手元に揃えておくと安心です。

【例】

  • 事業者とのやり取りを記したメモ
  • 契約書や領収書
  • きっかけとなった広告やパンフレット など

 なお、東京都消費生活総合センターでは、外国語相談(英・中・韓)や、聴覚障害をお持ちの方でも相談できるように電子メールやタブレット端末を使った手話通訳での相談にも対応しているそうです。
※新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から、まずはお電話でご相談ください。(令和2年7月取材時点)

取材を終えて

 今回の取材で、相談に対応するためにしっかりとした体制が整えられていることを知り、これまであまり馴染みのなかった消費生活センターでしたが、頼もしく心強い存在だと感じるようになりました。
 取材の後、実際に相談の現場を見学させていただきました。何より印象に残ったのは電話相談に向き合う相談員の姿です。広いフロアで多数の相談員が業務にあたる様子は圧巻でした。
 今後、毎日の商品の購入や契約で少しでも腑に落ちないことや疑問に思ったことにぶつかったときは、臆せずに早めに消費生活センターに相談したいと思います。また、周りの方々にも、困ったときにはセンターに相談できることを伝えたいと思います。

取材中の様子

消費生活相談、消費者被害に係る情報を
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