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今月の話題トラブルのない
上手な引越をしよう!

公益社団法人 
全日本トラック協会 
輸送事業部
竹内 牧子(たけうち まきこ)

 3月は転勤や就職、進学など人生の節目を迎える方が多く、一年のうちで最も引越が多い月です。
 人生に何度もない引越だから、トラブルのない上手な引越をしたいもの。
 全日本トラック協会の輸送サービス相談窓口に寄せらせた相談の中で、件数が多かった事例から、上手な引越のポイントについて、お話しします。

引越が決まったら、まず見積りを

 3月半ばから4月初めにかけて、一年の約三分の一の引越が集中すると言われています。引越間際になって探しても、引越業者が見つからないことがあります。引越が決まったら、まず見積りを、できれば引越業者に来てもらって見積りしてもらいましょう。見積りは無料です。
 最近はインターネットで見積りができる引越業者もありますが、入力忘れなどで積みきれなかった場合、自己負担となります。しかし、引越業者が訪問して見積りをし、見積り違いによって積みきれなかった場合は、引越業者が責任を持つことになっています。(※引越業者は見積書を発行する義務があります。)

標準引越運送約款

 大部分の引越業者は引越の基本的なルールを定めた「標準引越運送約款」(国土交通省)に基づいて、引越を行います。(※国土交通大臣の認可を得た独自の約款を採用する業者もあります。)
 引越業者は見積りをする際、「引越運送約款」の提示が義務づけられています。約款を確認し、不明な点があったら、聞いてください。

紛失?それとも、荷物を処分?

 紛失の相談で一番多いのは、捨てたことを忘れ、「紛失した」という思い込みによるものです。引越の際、荷物を処分することで、作業もラクに料金も安くなる可能性はありますが、勘違いを防ぐためにも、捨てる物のリスト作成や写真を撮るなど、記録を残しましょう。また、引越の最後は部屋やトラックなどに荷物が残っていないか、引越業者と一緒に確認しましょう。
 荷物の引き渡しが終わってから3か月以内に連絡がない場合は、荷物についての引越業者の責任は消滅します。万一、紛失に気付いた場合は、早めに連絡をしてください。

自分で梱包する際の注意点

 梱包の仕方が悪くて破損した場合は、補償対象外となるので、特に割れ物は、きちんと梱包しましょう。小物や食器類は一つずつ紙で包んでください。ダンボールに詰め過ぎて底が抜けてしまうことがないように、注意してください。隙間は丸めた紙でキッチリと詰める等、箱を揺すっても中身が動かないようにしましょう。また布団や座布団、カーテン等を梱包材代わりにして、ガラス製品やノートパソコンの荷造りをするのは、破損の原因にもなり、ガラスが割れた場合は布団等も使えなくなるので、絶対にやめてください。

「積み切り」について

 「積み切り」とは、トラックに積めるだけ積み、残りの荷物は自分で運ぶ分、料金が安くなるという契約です。数箱残る程度、と言われたのに、引越当日、タンスや冷蔵庫など大きなものを残されて困った、というトラブルも起きています。こうなると全部運んでもらう契約の方が安上がりです。積み切りの契約は、よく考えてから選ぶようにしましょう。

エアコン設置時の追加料金発生

 エアコン取り付け時に、ホースの延長や取り替え等を状況に応じて行うため、別料金になることが多いようです。ホースは1mあたり3千円くらいの場合が多く、追加で数万円かかる場合もあります。取り付ける場所によっては、穴開け工事が必要になります。筋交いに穴を空けられたというトラブルも発生していますので、一戸建て等への入居の際は、図面を用意するなどの準備をしましょう。

ドラム式洗濯機、移動時の注意点

 最近増えてきたドラム式洗濯機は、専用の固定ピンで中のドラムを固定して移動しないと、故障・破損の原因となります。固定ピンは購入の際、取扱説明書に付属しています。万一見つからない場合は、早めにメーカーから取り寄せる等、必ず用意をしてください。

混載便にご注意を!

 混載(積み合わせ)とは、大きなトラックで同じ方面の顧客の荷物を複数積んで、最後は小さいトラックに積み替えを行い、新居まで運ぶ仕組みです。一台のトラックを貸し切って引越するより安いのが魅力です。しかし以前、3月末までに到着する約束の荷物が4月に入っても届かず、入社式に間に合わなかったという相談もありました。混載便を利用する場合は、期日がある荷物の依頼は、避けましょう。

粗大ゴミの処分

 引越の際の粗大ゴミは引越業者に処分をお任せしたいという方が多いですが、現在は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則」によって引越業者が粗大ゴミを直接、処分場に運ぶことは出来ません。安心して安く粗大ゴミを処分するために、まずはお住まいの自治体へ問い合わせましょう。

 引越は自分の財産のほぼ全てを預けるようなものです。引越業者に任せればよい、というものではありません。信頼出来る引越業者を選ぶことはもちろん、引越業者任せにせず、よくわからないところは質問し、監督することで、トラブルのない引越にしましょう。

3月は新年度に向けてアパートなどの賃貸住宅の入居・退去が増える時期です。
HP東京くらしWEB-とらぶるの芽(No.39-2)から、注意点をお伝えします。

入居する
鍵の受取り時には仲介業者か貸主立会いのもと室内の状況を確認しましょう。トラブルを防ぐためにも、入居前からあるキズ等の確認は必要です。
写真(日付入)を残しておくとよいでしょう。東京都の「賃貸住宅トラブル防止ガイドライン」(東京都都市整備局)(P.26~29、P.42)には物件確認書の例が記載されています。「賃貸住宅トラブル防止ガイドライン」で検索
退去する
退去にあたっては清掃をきちんと行いましょう。家財・ゴミなどを残していってはいけません。部屋のクリーニングは貸主がすべきと思い込み、汚れた状態で物を残していったりすると、ゴミの撤去費用等を請求される場合があります。 物件状況については、入居時と同様に立会いで負担の有無を確認しましょう。

全日本トラック協会では、お客様と引越業者のトラブルを減少することを目的に、平成26年度より「引越事業者優良認定制度」を開始しました。
この制度は、“引越のルール”を守る事業者を引越優良事業者として認定するもので、優良事業者には「引越安心マーク」を交付します。「引越安心マーク」で検索

参考ホームページは、「かしこい引越」で検索

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