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web版 くらしに役立つ都民のための消費生活情報誌 東京くらしねっと平成28年 2016 No.227 3月号

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今月の話題 若者向け消費者被害防止キャンペーン月間特集
正しく怖がるインターネット

グリー株式会社
安心・安全チームマネージャー

小木曽 健(おぎそ けん)

みなさん、突然ですが質問です。
ここは毎日数十万人が行き交う渋谷のスクランブル交差点。
ここで、自分のプライベートな出来事をボードに書いて、写真のように掲げてみて頂けますか?
もちろん、「やりたい」と思う方はいないと思いますが、実はコレ、私たちほぼ全員が毎日やっていることなんです。

ネットに書き込むって、これと同じくらい大胆なこと
ネットに書き込むって、これと同じくらい大胆なこと

 インターネットに何かを書く、 SNSに写真やコメントを載せるという行為は、この交差点の写真そのままです。どちらかと言えば、交差点の方がまだマシでしょう。たかが数十万人ですし、掲げたボードは下ろせます。ですがインターネットは違いますよね。全世界の人間に、一度掲げたら二度と下ろせないボードを永遠に見せ続ける。これがネットやSNSにモノを書くということ。交差点よりキツいです。私たちは皆、コレをやっているのです。

●そもそもSNSとは?
 SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)、この言葉の意味をネットで調べると、
  • ◎人と人とを結びつける機能・サービス
  • ◎人と人との結びつきを、より深める機能・サービス
という説明が出てきます。ツイッターやFacebook、LINE、GREEなどは、いずれもこの「二つの機能」を持っている、つまりSNSなのですが、それぞれサービスの内容も違えば、提供している会社も違いますよね。分かりにくい。ですが、この「二つの機能」に注目すると…例えば、
  • ・昔はどこの駅の改札にも必ずあった黒板の伝言板
  • ・雑誌の読者欄にあった文通相手募集コーナー
  • ・迷い犬を探す貼り紙
  • ・結婚の世話が大好きな親戚の叔母
 これらは全て、人と人とを結びつけ、その結びつきを強める機能がある、つまり「SNS」なのです。この原稿を読まれている方で、年配の方であれば、どれか一つは間違いなく使ったことがあるでしょう。そういうものが機械仕掛けになって、インターネットに載っただけ、それこそがSNSの正体。SNSは新しい道具ではないのです。
 もし黒板などの「昔のSNS」に、反社会的な発言や自分の犯罪自慢を貼ったら、何が起きるか容易に想像できますよね。その点は「今のSNS」も全く同じです。
●SNSやネットの「炎上」とは?
 「反社会的な発言や自分の犯罪自慢を貼ったら何が起きるか」と書きましたが、この「起きること」こそがネット炎上と呼ばれるものです。SNSなどに人々の批判を浴びるような発言や写真、動画を載せたら、大勢の人間をワッと集めてしまい、激しい批判を浴び、場合によっては本人や家族の進学・就職にまで影響を及ぼす。これがネットの炎上です。実際、「炎上させてしまったのですが…」というご相談もよく頂くのですが、最悪の場合、投稿した本人のプライバシーが批判的にインターネットにさらされ、二度と消えない状況になります。
 そして必ず聞かれるのが、「どうすれば消せるのか? どうすれば無かったことにできるのか?」という質問です。気持ちは分かるのですが、残念ながら、これは「交通事故を起こしてしまった!  どうすれば無かったことにできるのか?」と同じ質問になります。無かったことにはできないのです…。

イラスト 動画見つけたぜ! 拡散希望!

●炎上書き込みを削除すると…
 もし万一、私たちが交通事故を起こしてしまったら、けが人の救護や警察への連絡など、その場で迅速にやらなければいけないことはたくさんあります。ですが、その中に「無かったことにする」作業はありません。言うまでもなくそれは法に触れる行為です。確実に逮捕され、重い処罰を受けるでしょう。
 実はインターネットの炎上も、交通事故と同じなのです。逃げ出したり、投稿そのものを無かったことにしようとすると、かなりの確率で状況が悪化します。「すぐに削除!」と思いがちですが、本人が炎上に気付いた時には、すでに多くの人々が投稿のコピーを保存しています。慌てて削除しても「無かったこと」にはもう出来ないのです。むしろ削除することで、コピーが拡散するスピードも速まるでしょう。
 炎上では百万人以上の注目を集めるケースも珍しくありません。投稿を削除することで、百万人の「逃すものか」という気持ちに火をつけ、一気に大炎上させてしまうのです。しかも拡散するコピーは「時間」が止まったまま。自分の失敗に気が付く前、反省する前の姿が、爆発的に拡散します。
●では、どうすればいいのか?
 実はネットに本人のオリジナル投稿が残っていれば、コピーに価値など生まれません。価値のないものは拡散しませんから、とりあえず爆発的な拡散は防げます。そしてここからが重要。炎上の原因となった投稿の「続き」を書くのです。
 自分の行動を素直に詫び、ネット上の反響に対し、補足すべき情報があれば補足し、誤解があれば説明します。迷惑をかけた相手がいれば、その相手にどのようにお詫びをしたのか、また自分に注意や処罰が与えられたのであれば、できる範囲でしっかり伝えます。
 この時、言い訳や反論はしません。相手は百万人ですよ。よほどスジの通った反論でなければ、火に油を注ぐ結果になるでしょう。ここで失敗している炎上もたくさんあります。でも、しっかりと反省の気持ちを伝え、批判に対しても感謝の気持ちを示すことができれば、その発言も含めて拡散されていきます。その結果「炎上させてしまったヤツ」ではなく「炎上させてしまったけれども、その後しっかりと対処できた、ネットリテラシーの高いヤツ」という、自分にとって少しはプラスにもなりうる情報が世の中に広まり、ネット上に残るのです。
●ネットで失敗しない方法
 言うまでもなく、全てのケースでこの「削除しない」選択がベストとは言い切れません。炎上の対処は判断が難しいのです。ですが書き込みの削除が「鎮火」につながったケースはほぼ無い、というのも事実なのです。そもそも、炎上なんて起こさないほうが良いです。事故だって、上手に対処できるより、事故を起こさないことの方がもっと大切ですよね。だからこそ「どうすればインターネットで失敗しないのか」という知識が重要になってくるのです。
 もしネットが現実と異なる「特殊な世界」だと思っているのであれば、その考えはバッサリ忘れてください。ネットの中にいるのは、私たち現実世界の人たちです。ネットの中で面白いと思う感情、怒る気持ち、全て現実世界と一緒です。ネットの中だって、犯罪を起こせば牢屋に放り込まれますよね。
 つまり、日常とネットは同じもの、日常はネット、ネットは日常。わざわざ「ネット」と「日常」を分けて考えるから、ややこしくなるのです。
 日常とネットを「同じものだ」と考えた瞬間に一つの答えが生まれます。日常とネットが同じならばこう言えませんか?「日常でやって良いことは、ネットで何をやってもOK。そして日常でやらないことはネットでもやらない。みっともないから、あと人生が破綻するから…」私は、講演などでこのことを伝える時には、こんなふうにお伝えしています。

 インターネットはすべて玄関ドアの外側です。スマホもLINEもメールも全て! しかも炎上するような内容を載せれば確実に身元が特定される。ネットはそんな場所です。家の外側で身元が特定される「場所」ってどこですか? 玄関ドアの外側ですよ。これがネットの正体! インターネットは自宅玄関ドアにベタベタものを貼っているのと同じなんです。だから玄関ドアに貼れるものは、ネットに貼ってもOK。そしてドアに貼れないものは、ネットに書かない方がいいのではなくて『書けない』。だって人生が終わるんですよ? それでも貼りたいものってあります? ないでしょう? これだけ覚えていれば、もう絶対にネットで失敗しません。
 インターネットは玄関ドアの外側。ネットで迷った時には、ぜひこの言葉を思い出してください。

インターネットはすべて玄関ドアの外側です

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