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web版 くらしに役立つ都民のための消費生活情報誌 東京くらしねっと平成28年 2016 No.226 2月号

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今月の話題 ペットと人のより良い関係のために
◯ペットや動物とふれあうことによる効果とは
◯ペットを飼う前に自分のライフスタイルを考えましょう

帝京科学大学 生命環境学部 アニマルサイエンス学科 准教授 加隈 良枝(かくま よしえ)

イラスト ペットと人のより良い関係のために

ペット飼育の現状

 みなさんのご家庭ではペットを飼っていますか? 一般社団法人ペットフード協会の「平成26年全国犬猫飼育実態調査」によると、国内で飼われている犬は約1036万頭、猫も996万頭に上るとされています。犬は六~七軒に一軒、猫は十軒に一軒のお宅で飼われていると推計されています。総務省発表の平成27年春の時点における15歳未満の子供の数は約1617万人であり、犬と猫の飼育数の合計はこの数を大きく上回っていることになります。
 ペットブームと言われて久しいですが、犬や猫の飼い方はこの三、四十年ほどでも大きく変わってきました。国内ではどちらも室内のみでの飼育が7割を超えて主流となり、人と犬や猫は、より親密な関係を築くようになってきました。

ペットを飼うことの影響

 ペットや動物とふれあうことには、身体への効果、精神面への効果、そして社会的な効果があることがわかっています(図)。こうした効果を活用しようと、近年では一般にはアニマルセラピーと呼ばれる「動物介在介入(活動、療法、教育等の総称)」が各地で実施されています。
 各国の研究で、ペットを飼っている高齢者は、飼っていない人に比べて通院回数が少ないことや、ペット飼育やアニマルセラピーの推進により、一国で数千億円程度の医療費削減になるとの試算も示されています。
 一方で、ペットは生活に別の影響ももたらします。ペットとの距離が縮まったため、吠える・噛むなどの攻撃性、言うことをきかないなどの問題行動に気付きやすくなり、トラブルも少なくありません。家族でも困りますが、他人にけがを負わせたら飼い主の責任問題です。中には、ペットを飼い続けることをあきらめてしまうケースもありますが、家族の一員としてペットを迎えたら、それは一番避けるべきことです。このようなトラブルを抱えないための対策を次に掲げます。

【図】ペット飼育や動物とのふれあいによる効果
イラスト 【図】ペット飼育や動物とのふれあいによる効果

ペットと暮らすうえで知っておきたいこと

 ペットとの素晴らしい暮らしを手に入れるとともに、世の中にいる不幸な犬や猫を少しでも減らすため、ペットを飼う人にできることがあります。

●適正な動物取扱業者を利用する
 ペットショップやブリーダー、トリミングサロンなど、ペットに関わる小売業やサービスは今や多岐にわたっています。こういった動物を取り扱う業者は、東京都等の地方自治体への登録が義務付けられています。登録業者には、多くの守るべき事項が法令で定められています。安価に生体を販売する業者は、動物の世話に十分な人手や資源をかけていない可能性が高いといえます。そのような店舗で販売される犬や猫は、性格や健康に長期的な問題をもつリスクがあります。家族の一員として一緒に暮らしていく動物が問題を抱えていたら、楽しいはずの生活が、苦悩の日々として十から二十年も続くことになります。環境省動物愛護管理室のサイトで提供されているチェックリスト(表)を参考にして、適正な業者を利用するようにしてください。

【表】
イラスト 【表】動物取扱業者を選ぶときのポイント
(環境省動物愛護管理室のサイトより)

●自分のライフスタイルに合ったペットを選ぶ
 ペットとして多いのは犬や猫ですが、それ以外の動物とも一緒に暮らすことができます。動物の種類によりペットとしての魅力や適性は異なりますが、ハムスターは子供でも世話をしやすく根強い人気があり、最近では小型のうさぎも増えています。
 これら人の手がある程度加わり家畜化された動物や、小鳥や爬虫類、金魚など長く人に飼われてきた動物は、一般に飼いやすいです。問題が起きても情報を手に入れやすく、飼育費用もかかりにくい傾向があります。珍しい動物を飼ってみたい方もいると思いますが、密輸された動物が売られていることや、健康管理が難しい場合があります。うさぎやフェレット、小鳥や爬虫類、サルなどのエキゾチックアニマルと呼ばれる珍しい動物を専門に診る病院もありますが、多くの動物病院では犬や猫の診療を主に行うので、特殊な動物を飼う場合、覚悟が必要です。
 ペットを飼う前には、つい楽しいことばかりを考えてしまいがちですが、ペットを飼うには時間と労力、そしてお金がかかります。運動や刺激の不足を補うため、犬には毎日の散歩は必須ですし、室内のみで猫を飼うなら遊んであげる必要があります。生き物なので病気や障害、問題行動をもつかもしれません。そういった大変さを含めて、その一匹の生涯をすべて引き受けられるでしょうか。ペットを飼うにあたっては、現在の家族の生活スタイルに合っている動物かどうかよく考えてください。
 特に犬では、見た目で犬種を選んでしまいがちですが、小型犬なら飼いやすいと思うのは間違いです。元々狩りや牧畜などの目的のために作られた犬種は、活発でよく吠えるので、欲しい犬種がどのような特徴をもち、どのような世話が必要なのかということを事前に調べてみてください。
 現在、東京都で飼い続けられなくなって犬や猫が行政に引き取られる理由の約半数は、飼い主の高齢化や死亡を含む健康上の問題が占めています。家族全員の同意を得ることはもちろん、ひとり暮らしの方は自分に何かあったときにサポートしてくれる人を確保しておきましょう。
●成犬や成猫を飼うには
 飼い主のいない犬や猫を、行政が運営する動物愛護相談センターや、民間の動物保護団体から引き取ることができます。施設で保護されている動物の多くはある程度成長しており、中には高齢の犬や猫もいます。成犬・成猫を飼うことのメリットとしては、飼い始めにあまり手がかからず、大きさや性格が安定していることがあげられます。また、小型犬や猫は二十年ほど生きることもあるので、現在高齢の方にとっては、ある程度年齢の行っている動物を飼う方が安心かもしれません。
●病気も問題行動も予防と対策が肝心
 ペットを飼い始めたらまず、動物病院へ連れていき、健康チェックを受けましょう。動物によっては特有の感染症がありますが、薬やワクチン接種で予防できるものも多いです。特に初めて飼う場合は、心配なことがあれば何でも相談してみましょう。子犬の場合、生後4カ月頃までに病院等で行われている子犬教室などに参加するのがお勧めです。様々な体験をさせることができ、成長後に順応性が高く飼いやすい犬に育てることに役立ちます。
 獣医療には公的な保険は無く、手術や入院には多額の費用がかかることがあります。最近ではペットの健康保険も普及してきましたが、年齢が上がると支払額が増えたり加入できなくなったりするので、飼い始めた時に検討すると良いでしょう。さらに、集合住宅での飼育規則や、災害時対応等の地域の決まりを確認したり、ペットが迷子になったり介護が必要になった場合の対策についても早めに情報収集することも、社会と調和しながらペットとのより良い関係を保つために大切です。

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