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web版 くらしに役立つ都民のための消費生活情報誌 東京くらしねっと平成28年 2016 No.225 1月号

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読者レポート 私たちの暮らしと産業廃棄物
~スーパーエコタウン事業とは~

読者委員 
森寺 信勝(もりでら のぶかつ)

 私たちの家庭から出るごみは一般廃棄物と呼ばれます。そして、レストランや工場など事業により排出されるごみには、事業系一般廃棄物と産業廃棄物があります。今回はこの産業廃棄物等の処理とリサイクルについて取材するため、東京都臨海部にある東京スーパーエコタウン無料見学会に参加しました。

イラスト 私たちの暮らしと産業廃棄物

 一般廃棄物は各区市町村の自治体が収集と処理を行い、私たちは日々の収集作業などの活動をよく目にしています。また、社会科見学等で子供の頃に、一度は地域のごみ処理場を訪れたことがある人も多いと思います。しかし、私たちが直接排出していない産業廃棄物等については、どのように処理が行われているかを知らない方のほうが多いのではないでしょうか。

他人事ではない産業廃棄物

 皆さん「産業廃棄物」という言葉にどのようなイメージをお持ちでしょうか。おそらく、これらのごみは企業などが排出している廃棄物であり、私たち一般消費者には無関係だと思っている方がほとんどだと思います。しかし、飲食店や工場などの企業の活動はすべて私たち、消費者のニーズに対しての行動であり、産業廃棄物とは私たちの消費行動によって生じているごみなのです。

東京都の廃棄物とスーパーエコタウン事業

 平成13年度の東京都の産業廃棄物は2522万トンと大量の廃棄物が排出されていました。当時これらの多くは他県に処理、処分を依存しており、東京都は都内において受け皿となる処理施設の整備を促進し、都内処理率の向上と最終処分量の削減を図る必要がありました。そこで東京都は都道府県の枠を超えて、首都圏全体で取り組むスーパーエコタウン事業の構想を打ち出しました。
 今回見学した3施設のうち、2施設の概要は次のとおりです。

食品廃棄物のリサイクル

 初めにご紹介するのは食品廃棄物のリサイクル施設です。この施設ではレストランなどの調理残渣や食べ残し、食品製造加工や調理過程で発生する動植物性残渣を、養鶏、養豚用の配合飼料原料に再生する事業を行っています。
 工場に搬入された食品廃棄物は、細かく破砕された後、予備加熱し、油温減圧紙器脱水乾燥法(通称てんぷら方式)という方式で、廃棄物に含まれる80%の水分を飛ばし、その後、不純物の除去等の処理を行い飼料化されます。 
 取り扱っている食品廃棄物で一番多いものはコンビニのお弁当で、約20%を占めています。

取材中の森寺委員
取材中の森寺委員

有害物質PCBの処理

 東京PCB廃棄物処理施設は、リサイクル、リユースを目的としている他の施設とは違い、ポリ塩化ビフェニル(PCB)を無害化処理するために建設された施設です。
 PCBは、かつて高圧トランス、コンデンサという機器に絶縁油として使用されていました。これらの機器は工場やビルなどで、送られてきた電気の電圧を変圧し一時的に蓄える装置で、私たちの暮らしを発展させ、支えてきてくれたものです。しかし、昭和43年に発生したカネミ油症事件がきっかけで広く知られるように、PCBの毒性により人体に様々な被害があることが報告されています。こちらの施設では海外のような焼却処理は行わず、PCB廃棄物を化学処理し、無害化します。
 このような環境汚染の問題は、国や企業の責任ではありますが、現在の豊かな暮らしの影にはこのような問題があるということだけでも、消費者として知っておくべきではないでしょうか。

 今回の見学で、東京のスーパーエコタウン事業は、再生技術や処理能力も高く、第三者機関等で厳正に検査され、安全面にも問題がないことがわかりました。工場内も、工具などは所定の位置にしっかりと戻され、ごみや山積みになった段ボールなど不用品も無く、4S(整理・整頓・清掃・清潔)が徹底され、従業員の方は見学者にきちんと挨拶をされるなど、会社としての意識の高さもうかがえました。
 しかしながら、廃棄物処理施設を作るうえでは、どうしても自治体や住民などからの理解を得ることが難しいようです。

見学の様子
見学の様子

消費者としてできること

 今回の取材を通じて、私たちと産業廃棄物は密接に関係していると分かりましたが、実際に私たちが消費者としてできることはあまりないようにも思えます。しかし、消費者としてできる行動は何か、事業を担当する東京都環境局に尋ねたところ「多くの皆さんに一度見学会に参加してほしい」との回答でした。おそらく、事業を知ってもらうことや環境問題について考えてもらうよりも先に、まずごみという存在を認知してほしいという思いが込められているのではないでしょうか。
 現在の私たちには、事業による直接の恩恵は少ないかもしれません。しかし、環境問題やエコロジーというように堅苦しく考えず、大人の社会科見学として、ご家族やご近所の方と無料見学会に参加してみてはいかがでしょうか。見学した子供たちが大人になり数十年先の都市計画を考えるときに、事業を思い出して、計画に取り込む可能性は十分にあると思います。
 百年先の東京は世界一廃棄物の少ない都市になっているかもしれません。

東京スーパーエコタウン無料見学会

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