東京都消費生活総合センター

web版 くらしに役立つ都民のための消費生活情報誌 東京くらしねっと平成27年 2015 No.224 12月号

  • 文字サイズ
  • 文字サイズを小さくする
  • 文字サイズを大きくする

今月の話題 「お年玉」で教える、お金との付き合い方

生活経済ジャーナリスト
「子供のお金教育を考える会」代表
あんびる えつこ

 もうすぐ子供たちにとっては楽しみな、そして大人にとってはちょっと頭の痛い「お年玉」の季節ですね。
お正月は、もともと歳神様を迎えて家族そろって祝う神祭りでした。「お年玉」は、この神へ供える餅である「年玉」からきており、子供の幸せを願って年長者から与えられたものといわれています。
(参考資料 「日本語と神道ー日本語を遡れば神道がわかるー」 茂木貞純著、講談社)

イラスト 「お年玉」で教える、お金との付き合い方

多額のお金を手に入れる「お年玉」

 「お年玉」は本来、幸福を願うものなのですが、今、子供たちが手にしている「お年玉」はイコール「お金」。「子どものくらしとお金に関する調査」(平成22年度調査、金融広報中央委員会)によると、子供たちがもらう「お年玉」の額は、小学校・低学年は「1万円くらい」が最も多く、2割強。中学年は「1万~1万9999円」が、高学年は「2万~2万9999円」が最も多く、いずれも3割弱となっています。中学生・高校生になると「1万~5万円未満」が最も多く、約5割。こうした多額のお金を簡単に手に入れられるのが「お年玉」というわけです。

大切な「お年玉」、ズルズル使っていない!?

 そこで気になるのが、こうして得た「お年玉」の行方。【図1】のように約半数の子供たちは「貯蓄する」と答えています。しかし一方で、「おこづかいで不足する部分にあてる」と答えた子供は、年齢が上がるにつれて増加傾向に。高校生にもなると4割強の子供がお年玉を普段の生活でやりくりできない時に利用していることがわかります。
 実は同調査で「おこづかいが不足したときどうするか」も聞いているのですが、「前借りをする」「兄弟姉妹から借りる」「友達から借りる」といった借金に相当する回答をした子供が、中学生・高校生の約2割にも上っているのです。普段のおこづかいで「やりくり」できず、借金傾向にある子供たち。その補てんに「お年玉」…という生活は、大人になった時にどうなるのかと不安になります。
 毎月の生活費でやりくりできる大人になるためにも、またせっかくまとまったお金である「お年玉」をズルズル使ってしまい、結局何に使ったか覚えていない…なんていうことにならないためにも、「お年玉」の管理はきちんと教えたいものです。【図2】のチェック項目に当てはまる場合には、要注意。“ズルズル使い”を避けるために「お年玉」の管理方法を再考する必要がありそうです。

【図1】お年玉の取り扱い(複数回答)
「子どものくらしとお金に関する調査」
(平成22年度調査、 金融広報中央委員会)より

イラスト 【図1】お年玉の取り扱い(複数回答)

【図2】あてはまったら…お年玉の“ズルズル使い”に要注意!
イラスト 【図2】あてはまったら…お年玉の“ズルズル使い”に要注意!

子どもと一緒に銀行口座を開いてみよう

 さらに詳しく見ていきましょう。お年玉を貯蓄すると答えた子は約半数ですが、中学生・高校生になっても約3割が「家の人がやっているのでよくわからない」と答えています【図3】。金融商品や販売チャンネルが多様化する一方で、自己責任時代を迎え、これからの子供たちはますます選択する力が必要になります。まとまった「お金」を手にするお年玉は、『貯蓄』を教える良い教材になります。親だけで管理せず、ぜひ子供にも参加させてみてください。
 まずは預金口座を開設するところからはじめてはどうでしょう。右下の表を参考に、契約の大切さが伝わるように、子供と一緒に進めていきましょう。
 中学生くらいになり理解が進んできたら、金融商品を「安全性・流動性・収益性」の三つの基準で考えて選ぶこと、またこれら三つの基準は同時に満たされないこと、よく商品を理解してから契約することなど基本的な事柄を教えながら、さらにいろいろな金融商品を選択肢として検討してもよいでしょう。

【図3】自分の貯蓄の有無
「子どものくらしとお金に関する調査」
(平成22年度調査、金融広報中央委員会)より
イラスト 【図3】自分の貯蓄の有無

イラスト 銀行に口座を開く前に確認したい3つのポイント

「お年玉」は、中・長期運用として分けて管理する!

 特に注意して教えたいのは、「お年玉」を日ごろのお金と分けて管理するということ。大人になると、「教育資金」「住宅資金」のように目的ごとに資金を分けて管理していますよね。
 同じように「お年玉」も、貯蓄する目的を考え、日ごろのお金と色分けし別口座で管理すると、お金が足りなくなった時に“ズルズル使い”せずにすむということを教えることができます。
 ところで「お年玉」を貯蓄する目的ですが、どのように子供に説明したらよいでしょう。貯蓄は貯蓄することが目的ではなく、何かに用いるために貯蓄するものです。しかし「お年玉」の場合、その目的が漠然としがちです。
 「お年玉」はそもそも子供の幸せを願って年長者からいただくものですから、子供自らの夢を実現するために必要になった時に備える「夢貯金」にするため…と説明するといいでしょう。その際、子供の「夢」について話し合ってみると、意外な子供の思いに触れることもできるかもしれません。
 そのうえで、中・長期運用の「いざという時まで手を付けないお金」として分けて管理するようにしてみましょう。そうすれば、“ズルズル使い”で、いつの間にかなくなっていた…というような事態も避けることができます。

「お年玉」を生かすためには…

 冒頭でご紹介したように、「お年玉」は幸福を願うもの。子供自身の幸福ももちろんですが、自分だけでなく社会全体の幸福や持続可能な社会を考える機会にもしたいものです。平成24年に施行された消費者教育推進法は「消費者の自立」だけでなく、「公正かつ持続可能な社会の形成に積極的に参画する社会」(=消費者市民社会)を目指しています。同じ「お年玉」を使うといった場合でも、資源や環境のことも考えて本当に長く使えるものかどうかよく検討する、フェアトレードのものを調べる、寄付についても考えてみる…など、「お金」が自分のためだけでなく、社会の中でよりよく生かされる方法を子供と一緒に考える機会にもしてみたいものです。
 中国の昔の言葉に「魚を与えれば、その人は一日食べられる。しかし魚の捕り方を教えれば、その人は一生食べていかれる」というものがあります。子供に単にお金を与えるのではなく、お金との付き合い方を教えれば、それは一生モノです。お年玉を教材にして「お金」との付き合い方をご家庭でもぜひ教えてあげてみてください。

12月号への感想をお寄せください

くらしに役立つバックナンバー

平成27年11月号
平成27年
11月号
平成27年10月号
平成27年
10月号
平成27年9月号
平成27年
9月号
バックナンバーカテゴリー別

東京くらしねっと オリジナルレターセット プレゼントPDF版(392KB)

東京くらしねっと 最新号PDF版(3MB)

編集部
〒162-0823 
新宿区神楽河岸1-1 セントラルプラザ16階
東京都消費生活総合センター 活動推進課学習推進係
【電話】03(3235)1157

東京都消費生活総合センター

このページの上に戻る