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web版 くらしに役立つ都民のための消費生活情報誌 東京くらしねっと平成27年 2015 No.223 11月号

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読者レポート 五器噛り対策

読者委員 
廣野 佐和(ひろの さわ)

御器(食べ物を盛る椀)にたかっていたことから、江戸時代に「五器噛り(ごきかぶり)」と呼ばれたという、あの虫。地球上に昆虫が出現した時からほとんど姿を変えずに現存する昆虫。できれば名前すら聞きたくない…。高気密・高断熱化した現代の住宅は、人間に快適さをもたらしましたが、同時にあの虫にとっても生活しやすい環境だといいます。日中どこに潜んでいるのでしょうか。殺虫剤を使わない方法はあるのでしょうか。

一般財団法人日本環境衛生センター 環境生物・住環境部長 武藤敦彦さんにお話を伺いました。

イラスト 五器噛り対策

あの虫について

 ゴキブリは世界に約3千種類以上います。ほとんどは森に棲み、人と関わるのは1%程度。翅(はね)がなく巨大なダンゴムシを思わせるもの、緑色、模様入り等いろいろ。珍しい種類はペットショップで売られています。日本にいるのは約50種類。私たちがよく目にするのはクロゴキブリ、赤褐色はその幼虫。食品関連施設で問題になるのは小型のチャバネゴキブリです。
 迷路を使った実験の記録があり、長期記憶はできなくても学習能力はあると考えられています。集合性はありますが、蟻や蜂のように社会性があるわけではありません。暗くて狭い快適空間に集まったというだけです。

駆除

Q.殺虫剤の安全性について
 薬局以外でも購入できる医薬部外品がほとんどです。医薬品医療機器等法(旧薬事法)の規制で安全性は保たれています。しかし過剰に噴射すれば人体に影響を及ぼします。注意書きには、どう書かれているでしょうか。使用方法・量を守って正しく使ってください。
Q.殺虫剤に対して抵抗性を持つといわれますが。
 抵抗性といわれているのは進化でなく淘汰で、これが問題になるのはチャバネゴキブリです。2~3か月で成虫になり、繁殖力があります。遺伝的に殺虫剤に強い個体が生き残って、薬剤の開発とイタチごっこです。ビルや飲食店などは法律で定期的な駆除が求められていますが、チャバネの駆除は難しいのが現状です。
Q.市販の粘着性捕獲器以外で捕獲する方法は?
 口の広いビンに油などを塗って設置する方法は効果があります。殺虫剤を使いたくない方は、捕獲したゴキブリに台所用洗剤をかけて下さい。呼吸器が塞がれ窒息します。洗剤に毒性があるのではありません。
Q.ホウ酸団子など毒餌商品は効果があるのでしょうか?
 他に食べ物があれば、毒餌を食べる可能性は低くなります。室内の掃除ができていれば毒餌の効果は期待できるでしょう。
Q.敵なしのイメージです。
 ゴキブリにも天敵がいます。身近にいるものではアシダカグモです。脚を広げると15㎝くらいにもなるクモです。

生息場所と侵入経路

Q.どこにいるのか不気味です。
 クロゴキブリもほとんどは屋外で暮らしています。成虫の寿命は半年ほどしかなく越冬しません。家に侵入したゴキブリは流し台下等ゴチャゴチャとした場所を好みます。整理整頓しましょう。台所の害虫とされますが、風呂場も大好きです。餌がなくても水さえあれば数週間生存できます。逆に餌があっても水がなければ繁殖しません。
Q.どこから侵入するのですか?
 主な進入口はサッシや玄関の隙間です。2㎜あれば入ってきます。排水口から上がってくることはほとんどないと思います。
Q.ハーブで阻止できますか?
 ハーブやスパイスの香りを嫌うことが知られています。ただし一つ二つ置いただけでは侵入を防ぐことができません。部屋中に敷き詰めれば効果はあるでしょうが、現実的ではありません。阻止を考えるなら、まず生ごみの臭いを出さないことです。毎日捨てるのが理想です。やむを得ず保管する場合は必ずゴミ袋を縛りましょう。

研究用にあの虫飼育中…

害と益

Q.どのような害がありますか?
 病原菌の媒介、アレルギー源になることが指摘されています。不衛生な場所をゴキブリが歩けば体に菌が付着します。人間の生活圏にそれが持ち込まれる可能性はあります。しかし体内でウィルスを増殖させて人に媒介する蚊等とは媒介方法が異なります。また、糞や脱皮の殻がアレルギー源になることはあっても、一般家庭でアレルギーの主因になることはないでしょう。その他、家電製品の内部が糞で汚されてショートしたりする被害があります。糞は粘着性があって厄介です。
Q.役立つことはありますか?
 中国では漢方として利用されていますし、実は栄養価が高い。昆虫食が注目されつつあります。将来、食糧になる日が来るかもしれません。また、①大きくて観察しやすい②繁殖・飼育が容易③均質な個体が得られることから、神経伝達の観察など科学の研究で利用されています。

ゴキブリ対策の基本

Q.「室内に巣」「汚い」「怖い」イメージしかありませんでした。
 CMの影響でしょうか。ゴキブリが特別に汚く怖いということはありません。ゴキブリ対策は餌となるゴミや水の処理をきちんとすることです。
 整理整頓・掃除に尽きます。

取材を終えて

 「家のどこかに群れをなして潜む虫」を退治しようと意気込み取材に出かけたのですが、あの敵愾(てきがい)心は一体何だったのか。脱皮中の美しさには驚嘆します。「異様なもの」ではなく「昆虫」でした。虫が苦手になったのはいつからか。意図的に作られた統計資料・もっともらしい文章表現を見抜き、イメージ映像は冷静に見ているつもりでした。が、どこかで昆虫のマイナス情報ばかり取り入れ過ぎていたように思います。「トコジラミのように警戒すべき虫もいるけれど、人を噛んだりするのもほとんどが防御行動…」武藤さんのお話に引き込まれて、昆虫に関心を抱くようになりました。全てをお伝えできない代わりに、本を1冊ご紹介したいと思います。川那部浩哉監修『オサムシ』(八坂書房)。足の速い虫と遅い虫の違い、色の不思議などがわかり、昆虫を観察したくなります。

取材中の廣野委員(左)と武藤氏
取材中の廣野委員(左)と武藤氏

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