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web版 くらしに役立つ都民のための消費生活情報誌 東京くらしねっと平成27年 2015 No.221 9月号

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今月の話題 「終活」をめぐる最新事情
○多様化する「終活」関連商品・サービス
○増える「終活」トラブル
○契約前の情報収集と周りへの相談を!

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、行政書士
本田 桂子(ほんだ けいこ)

イラスト 災害時への備え

「終活」関連の商品・サービスは多岐にわたる

 お盆やお彼岸にお墓参りや親戚の集まりに出たことをきっかけに、親や自分自身の葬儀・お墓について考える方も多いのではないでしょうか。昔と違い、最近では死にまつわる話題をタブー視する風潮が薄れてきており、積極的に自らの「終活」に取り組む人が増えているようです。
 いわゆる「終活」は、人生の終わりに向けて行うさまざまな活動のことをいいます。高齢化・少子化が進み、将来について準備する時間が長くなるとともに、家族にそのような準備を委ねられない状況にある人が増えていることが、その背景にあると考えられます。内閣府の「平成27年版高齢社会白書」によると、高齢者のいる世帯は全体の4割で、そのうち「単独」・「夫婦のみ」世帯が過半数を占めています。単身高齢者の割合が年々増えていることから、今後も自分自身で終末期の準備に取り組まざるを得ない人が増えることが予想されます。
 「終活を始めたいけれど、どこから取りかかればよいかわからない」という方は、「エンディングノート」を参考にするとよいでしょう。エンディングノートは、生前(医療や介護・財産管理など)と死後(葬儀・お墓・遺産相続、家族へのメッセージなど)について、周りの人に伝えたいことを記入できるノートのことです。高齢期に備えておくべき事柄が網羅されているため、終活を具体的に進めるのに役立ちます。書店で販売されているほか、金融機関や葬祭業者のセミナーなどでも入手できます。

商品・サービスの多様化で選択肢が増えている

 終活にまつわる商品・サービスについて、最近の傾向をあらわすキーワードは、「多様化と低価格化」です。

【葬儀】
 近年、近親者のみで葬儀をとりおこなう小規模な葬儀、いわゆる「家族葬」が一般的になりつつありますが、最近はますます葬儀の小規模化が進んでいます。お通夜をせず、告別式から火葬までを一日で済ませる「一日葬」、お通夜や告別式をせずに火葬だけで済ませる「直葬(火葬式)」などを取り扱う業者が増えています。
 葬儀の価格は、規模や内容によってまちまちですが、日本消費者協会の調査(※)によると、平均約189万円です。しかし、「直葬」は十万円代、「一日葬」は二十万円代で請け負う業者もあり、低価格化が進んでいます。異業種から参入した大手企業が、一律の低価格サービスを売り物にするケースもあります。
 ただ、直葬のようにあまりにも簡略化した葬儀の場合、納骨の際に菩提寺から拒否される可能性があるので、菩提寺に納骨を予定している場合は事前に同意を得たほうがよいでしょう。
(※日本消費者協会「第10回『葬儀についてのアンケート調査』報告書」平成26年)

「終活」にまつわる最近の商品・サービスの例
「終活」にまつわる最近の商品・サービスの例

【お墓・納骨】
 少子化でお墓を引き継ぐ家族がいないなどの事情から、承継者がいなくても一定期間供養してもらえる「永代供養墓(合葬墓)」や、遺骨を粉状にして海にまいたり樹木の下に埋めたりして自然にかえす「散骨」が人気を集めています。友人やペットと同じ場所で埋葬してほしいというニーズに応えたり、三万円程度の低価格でサービスを提供する業者もあります。
 先祖代々のお墓がある人も、将来子供への承継をスムーズにするために、遠方から近場にお墓を移す「改葬(墓じまい)」を行うケースが目立ちます。墓参りの利便性を重視して、永代供養墓に遺骨を納め、ウェブ上でお墓参りができるサービスを利用する人もいます。
 また、遺骨の一部をペンダントや人形などに入れて身に着けたり、室内に設置する「手元供養」も人気です。故人の遺灰を使って花を育て、日持ちするブーケやアクセサリーに加工するサービスも登場しました。

【遺品整理サービス】
 親亡きあとの実家の片づけは、特に子供が離れて暮らしている場合は大変です。そのような需要をふまえて、リサイクル業などから転身した「遺品整理業者」が増えており、生前のうちに自分の遺品整理を予約する人もいます。

【死後の事務管理、ペットの引き取りなどの生前契約】
 主に独身の高齢者向けに、入院時の保証人や終末期医療など医療機関への対応、葬儀や納骨・遺品処分を一括して請け負う団体や、犬や猫、オウムなどのペットの飼い主が、死後のペットの世話を依頼できる団体もあります。

終活に関するトラブルは年々増加傾向にある

 消費者の選択肢が増えた半面、サービス内容をよく理解せずに契約し、解約しようとしたら想定外の費用がかかったなどのトラブルが増えています。全国の消費生活センターに寄せられたお墓や葬儀サービスについての相談件数はここ数年高水準で推移しており、内容は料金や解約に関するものが中心です。具体的な事例については【表1】を参照してください。

【表1】「終活」にまつわる相談の例
(東京くらしWEB「消費生活相談FAQ」より)

  • 霊園にお墓を建てたいが、霊園の指定業者である石材店では値引きに応じてくれない。他の石材業者に変更できないか。
  • 数年前に霊園の墓地を購入して永代使用料も支払ったが、解約したい。永代使用料は返金してもらえるか。
  • 田舎の寺院墓地から近所の公営墓地に遺骨を移転しようと思ったら、寺から離檀料などの高額料金を請求されて困っている。
  • 親の生前、葬儀会社と見積もりをして契約したが、葬儀後、見積もりに入っていなかった項目の料金を請求された。
  • 親が死後の葬儀を業者に依頼してお金を支払ったが、長期間経過して、その会社がなくなってしまった。
  • 永代供養墓の契約をしたいとインターネットで見つけた業者に連絡したが、不審点があり、契約していいのか不安だ。
  • 家族が契約していた互助会(積立形式で冠婚葬祭に備えるサービス)の積立金だけでは葬儀ができず、高額な支払いとなった。

契約前に十分な情報収集と、周りへの相談が不可欠

 お墓や葬儀サービスなど終活にまつわる契約は、料金体系が複雑なうえに高額で、かつ契約期間が長期にわたるものが多いため、契約には十分な注意が必要です。業者の中には、強引な勧誘をしたり、必要な情報を提供しなかったり、経営体制に問題があるケースもみられます。
 契約の際には、事前に十分な情報収集をしたうえで、複数の業者の見積もりをとることが大切です。セット料金に含まれないものがあれば、個別に料金を確認しましょう。金銭の支払いは原則後払いで、やむをえず事前に払う場合は、解約時や業者の倒産時の返金について十分確認してください。不審点があったりトラブルになった場合は、消費生活センターなどに相談しましょう。
 最後に、終活で決めたことを実際に行うのは、本人ではなく家族であることが多いものです。「周りに迷惑をかけたくないから」と、ひとりで決めるのではなく、周りと相談しながら、時間をかけて終活を進めていきましょう。

全国の消費生活センターに寄せられた相談件数の推移 全国の消費生活センターに寄せられた相談件数の推移
国民生活センターのサイトより。
「葬儀サービス」は、葬儀業者が行う葬式のほか、火葬場、斎場、僧侶の依頼等葬式に関連する相談も含む。

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