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web版 くらしに役立つ都民のための消費生活情報誌 東京くらしねっと平成27年 2015 No.218 6月号

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今月の話題 外国語をどう学ぶか
○必要なのは動機づけ ○基本は音読と暗誦 ○新しい技術の活用も

東京外国語大学教授  澤田 ゆかり(さわだ ゆかり)

イラスト 外国語をどう学ぶか

高まる外国語の必要性

 「日本で外国語を使う人が最も多い場所はどこ?」と聞かれたら、どう答えますか?
 とんちクイズのようになってしまいますが、私は「教室の中」ではないかと思います。日本では中学校から英語を習うので、教室の中でなら外国語を話したことのある人は、とても多いはずです。ところが学校を一歩離れると、外国語を使う機会はあまりない、というのが、平均的な日本人の実感でしょう。海外旅行や留学、あるいは海外駐在でもない限り、生活するにも仕事をするにも「日本語だけで十分」というのが、これまでの現実です。
 しかし2020年の東京オリンピックに向けて、日本国内でも外国語を使う機会がいちだんと増えることが予想されます。グローバル化が急速に進む東京では、すでに40万人以上の外国の人々が住んでいます(図1)。また日本を訪れる外国人観光客も、2011年の東日本大震災で一時減少したものの、翌年からは再び増加傾向に転じ、平成26年には1340万人と10年前の2倍以上に達しています(図2)。
 東京では、オフィス街や観光地はもちろんのこと、それ以外の地域でも外国人の隣人が珍しくなくなってきました。
 日本の会社もグローバル展開のために外国語の能力を重視するようになりましたし、高校や大学においても在学中に留学するチャンスがどんどん広がっています。外国語の運用は、もはや特別な専門技術ではなく、身近なスキルの一つになりつつあります。

【図1】東京都の外国人人口の変化 【図2】訪日外客数

「基礎からキチンと」の呪縛

 このような空気の変化に触発されて、「よし!今年は英語を勉強し直そう」とひそかに意を決している方もいると思います。そして、まじめな人ほど「英語は学生時代にやったきりで、もうほとんど覚えていない。ここはひとつ基礎からキチンとやり直そう!」と考えて、テレビやラジオ英会話の初級テキストを買ったり、英文法の参考書などを開いて練習問題をやり始めたりするのではないでしょうか。
 もしそうなら、ちょっと待って!
その前に、少し立ち止まって、いったい外国語を使って「何をやるのか」を自分に尋ねてみてください。たとえば「音楽が好きで英語の歌を上手に歌ってみたいから」とか「憧れのスターが来日したときに、彼の母語であいさつしたいから」とか「中国語ができれば、現地工場のスタッフと仲良くなれるから」とか、できるだけ具体的にイメージを描いてみましょう。

 外国語を学ぶためには、この「動機づけ」がとても重要です。これがないと、勉強のための勉強になってしまいます。このタイプの勉強は、すでに教室で経験済みですから、効果も分かっていますよね。それよりも「XX語ができたら、○○ができる」という夢を頭のなかに刻みこんで、学習意欲を絶やさないようにするのが、上達への第一歩です。

イラスト Let it be

シュリーマンの「情熱」

 トロイの遺跡発掘で有名なハインリヒ・シュリーマンは、何種もの外国語をほとんど独学で習得したことでも知られています。彼は自伝『古代への情熱』で、自分が英語を身につけた時の「かんたんな方法」を紹介していますが、これは現在も通用するすぐれたノウハウです。その方法とは、「非常に多く音読すること、決して翻訳しないこと、毎日1時間をあてること、常に興味ある対象について作文を書くこと、これを教師の指導によって訂正すること、前日直されたものを暗記して、次の時間に暗誦すること」でした。
 この方法は、私の勤務先の大学でも基本的に踏襲されています。もちろん翻訳の授業では、「決して翻訳しないこと」は当てはまりませんが、音読と暗誦は基本中の基本です。それもできるだけ大きな声で暗誦すること。「私はもう歳だから記憶力が衰えて無理」という方も、音読の回数が増えると歌のように耳に残りますから、その言語のリズムを体感できますので、頭ではなく耳と喉で暗誦できるようになります。
 そして、そこまで繰り返して読むには、内容が「とてつもなく好きなもの」でないと難しいのです。シュリーマンがトロイの遺跡発掘に傾けたような、情熱をもてる題材を選んでください。映画でも音楽でもビジネスでもかまいません。例えば、数学が大好きなら、数学について書かれた英語の本を暗誦すれば、いつのまにか英語の「勉強」が「趣味」へと転じることでしょう。

インターネット時代の助っ人たち

 今はインターネットを使えば、興味のもてる動画を探して、その音声を何回も聞き取りながら繰り返し発音する、ということが可能です。耳の不自由な人向けに字幕がついている動画も少なくありませんので、聞き取れない言葉も文字で確認できます。また電子辞書アプリには、音声付きの辞書もありますので、発音記号に頼らなくても済みます。そしてもう一つ、効果が大きいのがスカイプやチャットなど、ネット経由の会話です。高い航空券を買って移動しなくても、世界中の同好の士と会話することができます。こうした新しい技術を上手に使えば、学習のモチベーションを保つのに役立ちます。
 もっとも語彙を増やすためには、やはり音読と暗誦は王道でしょう。ただし、毎日毎晩大きな声で暗誦していると、「うるさい」という文句が家族やご近所から出てくることもあります。事実シュリーマンはロシア語を学習した際には2度も転居を余儀なくされました。そういう意味では、遠慮なく外国語を話せる「教室の中」は案外貴重な場所といえます。
 語学は、目的ではなく手段です。どうか楽しみながら、夢をかなえてください。

語学教室等に関するトラブル事例
〜外国語を学ぶにあたって〜

イラスト 語学教室トラブル

 語学教室等のように長期にわたる契約では、自分が期待したようなサービスが受けられない、あるいは、事業者の倒産により残りのサービスが受けられず、未受講分の受講料返金も困難になるといったリスクがあります。また、サービスを受けている途中で契約を解除した場合、 高額な解約料が発生することもあります。
 都内の消費生活センターに寄せられる語学教室(講座含む)に関する相談の多くは、解約・返金に関するトラブルです。

  • ●1レッスン2時間の授業100回分のコースを契約し、受講料35万円を一括払いしたが、レッスンを10回受講した時点で英会話教室が倒産した。未受講分の受講料を取り戻すことはできないか。
  • ●子供を幼児用英会話教室に通わせていたが、なじめず行くのを嫌がるため、解約を希望したところ、翌々月までの月謝を要求された。しかし、契約時にそのような説明は受けていない。規約には「退会希望月の前月1日までに申し出ること」と記載されているが、納得できない。
  • ●語学カフェにてドイツ語講座を受ける契約をしてカード決済した。講座内容に不満はなかったが、2回受講した段階で解約を申し出た。そもそも契約書をもらっておらず、解約を了承した書面も交付してもらえない。カード決済の解約処理がきちんと行われるのか心配だ。
  • ●24時間受講可能とうたっているオンラインの英語講座に申し込んだ。しかし、受講するためには、1週間前までの予約が必要だと分かり、翌日解約を申し出た。まだ受講していないにもかかわらず、入会金は全額返金不可と言われ、納得できない。

アドバイス 語学教室のうち、契約の期間が2か月を超え、かつ、契約の総金額が5万円を超えるものは、特定商取引法の対象となり、クーリング・オフや中途解約した際の解約料の上限に関する規定が適用されます。しかし、それ以外のものについては、原則として、契約時の規約に拘束されるため注意が必要です。
 契約する際には、解約時の手続きや解約料について十分な説明を受け、契約書もよく読み、納得したうえで契約するようにしましょう! また、請求された解約料金に納得できない等の場合は、最寄りの消費生活センターにご相談ください!!

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