東京都消費生活総合センター

web版 くらしに役立つ都民のための消費生活情報誌 東京くらしねっと平成27年 2015 No.217 5月号

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今月の話題

身につけよう!
契約の基礎知識

春、5月。環境が変わり、契約事が続くと不安になりますね。
大丈夫です。どのような場合でお金を払う義務を負うのか?法的な原則と、契約に不慣れな人などを守るための保護のルールについて、考えてみましょう。

弁護士 武田 香織(たけだ かおり)

イラスト 契約の基礎知識 ピザを注文する 電車に乗る 同意をする すべて契約です!

契約の原則

契約とは
 法的な権利義務を生じさせる約束を契約と言います。私たちの暮らしには契約があふれています。
契約の拘束力
 皆さんは、原則として、自分が締結した契約の内容とおりに、法的な権利を有したり、義務を負います。
私的自治の原則
 なぜ、契約にそのような法的な拘束力が認められるのでしょうか?「人が義務を負うのは自分の意思で望んだとき」という発想があるからです。これを「私的自治の原則」と言います。人の自由を重視し意思を尊重しようという発想です。
守らないとどうなる?
 裁判所での手続を経て、強制的に実現されてしまいます。例えば、お金を払うという内容の契約を守らなかった場合、原則として、契約とおりに支払えという判決が出され、財産(例えば預金や給料)を差し押さえられてしまいます。
★法的ではない約束もあります
 私たちの暮らしには、道徳的なレベルの約束もありえます。例えば、友人と遊ぶ約束は、一般的には道徳的なレベルの合意で、法的な権利義務を生じさせる契約とは言えないでしょう。
契約は合意によって成立します
(口頭で成立します!)
 契約はお互いの意思表示の合致=合意によって成立します。つまり、原則として、口頭でも、契約書がなくても、成立します。

イラスト 口頭で成立 「このDVDを借ります」「はい。ありがとうございます」合意で契約

契約書は重要な証拠!
 しかし、後でトラブルが生じたとき、契約書は、さかのぼってどのような内容の意思だったかを裏付ける重要な証拠となります。特に、自分がサインした書類は、仮に「契約書」という題名でなくても、書かれている内容とおりの意思であったと裏付けられる可能性が高いものです。
 サインをするときは、隅から隅までじっくり読みましょう。もし、理解できなければ、保留にしてゆっくり再検討しましょう。
★「形だけだから」サインしても大丈夫?
 ダメです。後でトラブルが生じた時、書面とおりの義務を追及されるおそれがあります。口頭で書類と異なる説明を受けたとしても、書面が優先される危険があります。いくら友人・知人の勧めであっても、安易にサインをしてはいけません。
契約内容は原則自由
 皆さんは、原則として契約内容を自由に決めることができます。これを「契約自由の原則」と言います。これも意思を尊重しようとする発想です。
★契約内容をハッキリ決めなかったら?
 民法に「売買」「賃貸借」などの13種類の契約類型が定められています。これらの規定は、皆さんがハッキリと契約内容を決めていなかった場合に、参考とされます。
★消費者が加害者になることもあるので注意!
 ちょっとしたアルバイトのつもりで商品を勧める側になった場合、自分が良いものだと信じているとしても、書面と異なることや裏付けのとれないことを言ってはいけません。かえってトラブルのもとになります。

原則を貫くと不公正?…保護するルール

不慣れな人は守られます
 …消費者、未成年者・判断力の十分でない人も、安心して暮らせるように!
 契約をするのに不慣れな人、判断力の十分にない人もいます。もし、一律に①の原則を貫いてしまうと、かえって納得のしにくい、不公正な社会となりかねません。
 そこで、消費者契約法(消)、特定商取引に関する法律(特)などの特別法や、民法(民)によって、さまざまな保護のルールが決められています。
例えば、
消費者を保護するルール
●訪問販売、電話勧誘販売、マルチ商法などの契約→クーリング・オフできます(特)
●商品の質、価格、取引の条件等について実際と異なる勧誘をされた→取り消せます(消・特) 
●「必ず儲かる」等断定的な勧誘をされた→取り消せます(消)
●相手に居座られて困った→取り消せます(消)
●帰りたいのに帰らせてもらえず困った→取り消せます(消)

イラスト 「必ずもうかりますよ!」こんな勧誘に注意!

未成年者を保護するルール
●未成年者の契約→取り消せます(民)
判断力の十分でない人を保護するルール
●法的な判断力が十分でない人がした契約は、判断力の段階に応じ、取り消すことができます(後見、保佐、補助の制度)(民)
●後見、保佐、補助の審判を受けていない人についても、法的な判断力が十分でないことを理由(の一つ)として、契約が無効となりえます(民)
不当な内容には拘束されません
 いくら意思を尊重しようといっても、不当な契約に拘束力を持たせるわけにはいきません。そこで、法律の中には、合意に優先する規定があります。これを「強行規定」と言います。強行規定に違反する契約は、違反する部分が無効となります。例えば、
●クーリング・オフできないという特約→無効です(特)
●消費者が解約したときの違約金→高額な違約金を合意していたとしても、一定額まで制限されます(消・特)
●違法な権利義務を内容とするもの、例えば犯罪を約束する契約→無効です(民)
自由な意思による契約でなければ拘束力は認められません
 契約が自由な意思に基づかなかった場合も、拘束力が否定されることがあります。①の契約の原則は、自由な意思をもとにしているからです。
例えば、
●相手の嘘を信じてした契約→取り消せます(民)
●自分の内心とは異なる意思をうっかり表示してしまった契約(錯誤)→無効です(民)

一番の基礎知識は?…迷った時、そのままにしない

法律も変わります
 社会情勢や被害実態などに応じ、法改正や新法の制定が行われています。例えば、消費者契約法は2000年に制定されました。特定商取引に関する法律も頻繁に改正がされています。
★資料とメモを大切に
 契約書などの資料は大切に保管しておきましょう。インターネット取引の場合は、その当時の約款を保存・印刷しておきましょう。おかしいなと思ったとき、迷ったときは、どのようなことがあったのか、メモを取りましょう。そして相談してください。

最寄りの消費生活センターへ

 司法(裁判所)の判断や行政の指導による救済もありえます。一人であらゆる知識を身につけることは難しくても、誰かの助けを借りればパワーアップすることができます。
 迷った時や困った時、そのままにせず、最寄りの消費生活センターや、東京都消費生活総合センターへ問い合わせてみましょう。
消費生活センターってどんなところ?
都内の消費生活センターでは、商品を購入したり、サービスを利用した際の販売方法・契約・品質・価格などのトラブルについて、専門の消費生活相談員が、解決のための助言、あっせん、情報提供などを行っています。困ったときはひとりで悩まず、まずは相談してください。

消費生活センターに似た名称の事業者に関する相談が増えています。消費者ホットラインはお近くの自治体の消費生活相談窓口をご案内します。☎0570-064-370

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