東京くらしねっと 1月号

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今月の話題 歯科医療をめぐるトラブル防止のために 公益社団法人 東京都歯科医師会 理事 岡田 信夫 (おかだ のぶお) ●かかりつけ歯科医を持とう ●どんなに高額でも一生持つ  治療法はないことを理解しよう ●治療の前にしっかり相談しよう

歯科医療をめぐるトラブル防止のために公益社団法人東京都歯科医師会 理事 岡田 信夫(おかだ のぶお)●かかりつけ歯科医を持とう ●どんなに高額でも一生持つ治療法はないことを理解しよう ●治療の前にしっかり相談しよう歯科医療 イラスト

 歯科医療をめぐるトラブルの多くは、医師側のインフォームドコンセントの不足と、患者側の治療結果への過度な期待と過信から起きています。
 最近では、インターネット等で簡単に歯科医師や歯科治療に関する情報を得ることができて便利になった反面、広告に惑わされることもあるので、注意が必要です。医療広告には利用者保護の観点から厚生労働省の規制があります。院外に掲示できる標榜は、歯科、矯正歯科、小児歯科、歯科口腔外科のみで、それ以外の審美歯科、インプラント、ホワイトニング等の表示は認められていません。また、雑誌やネットの「良い歯科医院」などという記事も、広告費用をかけて掲載されている場合もあり、判断基準が不明です。

かかりつけ歯科医を持ちましょう

 歯科疾患は、外傷事故以外では突然耐え難い痛みになるということはまれです。ほとんどの方が無症状のまま、初期の虫歯、歯周病などの歯科疾患に罹患していますが、それを放置しているうちに徐々に悪化して、痛みなどの症状が出てきます。したがって、日頃から症状が無くても定期的に歯科医院を受診して、健康状態を確認し、歯石を取るなど衛生状態を保つことが重要です。自分にとって「良い歯科医院」を選ぶには、①治療の目的と計画、全体費用や支払い方法を明確にしてくれる ②治療法の利点と欠点を理解できるまで説明してくれる ③通院しやすく、清潔で対応が良いことなどを目安にするとよいでしょう。
 「かかりつけ歯科医」を持つことが、歯科治療のトラブルに巻き込まれないための大事な要素となります。
 ここでは、保険外治療のトラブルについて考えてみましょう。

歯列矯正治療とは

 歯列矯正治療は、歯並びと噛み合わせを治療することで、噛む機能が改善され、審美的にも良くなります。また、将来的に虫歯、歯周病に罹患するリスクが減るとも考えられます。
 しかし、治療期間が数年かかり、健康な歯を抜かなければならない場合もあり、高額な費用がかかります。また、装置があることで口腔衛生が不良になり、虫歯と歯周病になってしまうこともあります。成人では、動かない歯があるなどで、理想的な審美性が得られない場合があります。
 成功すれば、さまざまな効果が得られ、長年にわたって影響する専門性の高い治療と言えますが、治療を始める前に、前述の情報も知っておく必要があります。

保険外の補てつ治療とは

 補てつ治療とは、虫歯になった歯に被せ歯をしたり、失ったところに入れ歯などの人工物を入れる治療法です。
 保険外治療のメリットとして、材料は保険内のものより経年劣化が少ない等で、取り替える回数が減ります。また、保険内治療では入れ歯しかできない場合でも、保険外では取り付け式のブリッジができることがあります。ブリッジとは、抜いた歯を補うために、前後の歯などを削って橋のように固定する装置です。ブリッジによって、生活機能の改善が期待できます。
 保険外の入れ歯は割れにくく、違和感が軽減されることで不便さが改善されますが、歯の状態が安定してからの治療開始が望ましいと思います。
 インプラント治療は、人工の歯根を顎の骨に埋め込むことで、他の歯に負担をかけずに、噛む機能を復元できる利点があります。しかし、誰でも希望すれば可能ということではなく、体質等に条件があります。治療後にも、医師の指導の下で適切なケアが必要です。特にインプラント治療については、医療機関や医師によって、治療の水準に差があるおそれがあります。十分な情報収集を行い、治療前にリスク等の説明を受けることが大切です。
 保険外治療は、金銭面では診察費用が全額自己負担になり、費用は一般に高額になります。それぞれの治療法のメリットとデメリットを理解して、治療を受けましょう。

ブリッジの構造 イラスト
インプラントの構造 イラスト

 補てつ治療とは、虫歯になった歯に被せ歯をしたり、失ったところに入れ歯などの人工物を入れる治療法です。
 保険外治療のメリットとして、材料は保険内のものより経年劣化が少ない等で、取り替える回数が減ります。また、保険内治療では入れ歯しかできない場合でも、保険外では取り付け式のブリッジができることがあります。ブリッジとは、抜いた歯を補うために、前後の歯などを削って橋のように固定する装置です。ブリッジによって、生活機能の改善が期待できます。

ブリッジの構造 イラスト

 保険外の入れ歯は割れにくく、違和感が軽減されることで不便さが改善されますが、歯の状態が安定してからの治療開始が望ましいと思います。
 インプラント治療は、人工の歯根を顎の骨に埋め込むことで、他の歯に負担をかけずに、噛む機能を復元できる利点があります。しかし、誰でも希望すれば可能ということではなく、体質等に条件があります。治療後にも、医師の指導の下で適切なケアが必要です。特にインプラント治療については、医療機関や医師によって、治療の水準に差があるおそれがあります。十分な情報収集を行い、治療前にリスク等の説明を受けることが大切です。

インプラントの構造 イラスト

 保険外治療は、金銭面では診察費用が全額自己負担になり、費用は一般に高額になります。それぞれの治療法のメリットとデメリットを理解して、治療を受けましょう。

ホワイトニングについて

 ホワイトニングは歯の見た目を白くすることで、複数の方法がありますが、結果を確定できる方法はありません。この色にしたいと思っても、そのような色にならないかもしれません。歯の白さの度合いは、主観によって判断されるものです。また、効果は半年位で、施術中、施術後に知覚過敏を発症する方がいます。
 まずは歯の色ではなく、肌の色、全体のバランス、タイミングを考えて、必要性の有無を判断して欲しいと思います。

トラブルにならないために

 歯科疾患は命に関わらないと思っている方も少なくないかと思いますが、噛むことから健康が始まり、噛めなくなることで多くの病気のもとになります。発症したのは昨日でも、病気は何年も前から進行していることが多く、時間がかかって悪くなった病気はすぐには治りません。時間をかけて、生活習慣から改善する指導を受けて欲しいと思います。
 冒頭に述べた「かかりつけ歯科医」があれば、過去の病歴、生活習慣、環境等を把握しているので、個人に合う適切な治療法を選択できるであろうと考えます。

 また、全ての歯科領域を、一人の歯科医師が極めるのは不可能です。自分の技量に合わないと判断したら、適切な医療機関を紹介する医療連携を持っている歯科医院が、望ましいと思います。
 最後にはっきりと言えることは、どんなに高額な治療でも一生持つものはありません。そしてどんなにすばらしい治療であっても、メンテナンスの善し悪しで歯の寿命は大きく変わります。虫歯は、ごく初期を除いて自然治癒することはなく、治療のために削ったり抜いた場合も再生しません。
 ぜひ、治療を始める前に歯科医師としっかり相談をして、トラブルを避けていただきたいと思います。

歯科 イラスト

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