東京くらしねっと 1月号

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家庭で取り組む防災 〜命を守り、暮らしを守る〜 読者委員 町田 志都香 (まちだ しづか)首都直下地震は、今後30年以内に約70%の確率で起こる可能性があると報道されてから災害への備えについて、各メディアで情報提供される機会が増えました。 大地震が起きたとき、自分の命を守り、家族の安全を守るために、実際に何からとりかかれば良いのでしょうか?「身の回りを見直して、工夫と実行を」をスローガンに、さまざまな防災普及活動をされている、公益財団法人市民防災研究所を取材しました。家庭で取り組む防災 イラスト

家庭で取り組む防災 〜命を守り、暮らしを守る〜 読者委員 町田 志都香 (まちだ しづか)首都直下地震は、今後30年以内に約70%の確率で起こる可能性があると報道されてから災害への備えについて、各メディアで情報提供される機会が増えました。 大地震が起きたとき、自分の命を守り、家族の安全を守るために、実際に何からとりかかれば良いのでしょうか?「身の回りを見直して、工夫と実行を」をスローガンに、さまざまな防災普及活動をされている、公益財団法人市民防災研究所を取材しました。家庭で取り組む防災 イラスト

命を守る

 事務局長の坂口さんは、地震への備えで一番に考えなければならないのは「自分の命を守ること」だと強調されました。食糧の備蓄や防災用品等の備えも大切ですが、これらは、命が助かってこそ効果を発揮します。
 地震の際に、こうすれば絶対に助かるという方法は残念ながらありませんが、まずは「命を守り、ケガをしない環境づくり」を始めることが大切です。

住まいの耐震性を見直す
 まず初めにすべきことは、最も身近な安全性を確保すること、それは、自分の住んでいる建物の耐震性を確認することです。一度建物の耐震診断を受け、住まいの状況を把握し、必要があれば耐震補強を行ってください。
 制度の内容や対象は異なりますが、耐震化のための助成制度を設けている自治体もあります。
安全空間の確保
 揺れを感じたり、緊急地震速報を受けたときは、丈夫なテーブルの下や、物が落ちてきたり倒れたりしない空間に身を寄せ、まずは自分の身の安全を最優先に行動します。そのためには、家の中のどこかに、倒れたり落下したり移動してきたりする物がない「安全空間」を設けておくことが大切です。家具は、万一倒れても部屋の出入口をふさがない場所に設置するなど、逃げ道を確保します。ケガを防ぐためには、家具や家電等の転倒、落下、移動防止対策も重要です。家の中を見回し、棚の上など高い場所に物を置かないように心がけます。ガラスには飛散防止のフィルムを張るのも有効です。
 避難するときも、被災後の生活にも、必要になるのは「足」なので、足をケガから守ることも忘れてはいけません。
避難時の初期対応
 避難の際に忘れてはいけないのが電化製品のコンセントを抜く・ブレーカーを落とすことです。災害時の停電で切れたと思っていた電化製品が、電気の復旧と共に再作動し、これが火元となって「通電火災」が起こり、大きな被害をもたらします。阪神・淡路大震災では、原因が特定された建物火災の6割が、この通電火災によるものだったそうです。
火災時の対応

 もし、火災が発生したら「火事だ」と大声で知らせ、火が小さいうちに消火しなければなりません。
 市民防災研究所で「投てき水パック」を紹介してもらいました。小さな袋状になっていて、高齢者や力の弱い人にも扱いやすく、燃えている物に投げることで、簡単に消火活動ができます(ただし、てんぷら油火災への使用は厳禁)。消火器のほかに、初期消火のためのもう一つの消火具として、バケツと一緒に備えておこうと思いました。
 炎が天井まで燃え移るほど拡大してしまったら、消火より避難を優先します。その際は必ず扉を閉め、延焼を防ぐことを忘れないでください。
 また、火災で怖いのは煙の成分である一酸化炭素だそうです。煙の中は、はって逃げます。煙が立ち込めていても、床近くには空気が残っています。その際、空気を確保する「煙フード」などのグッズも有効だと思いました。

投てき水パックを持つ町田委員(右)と坂口事務局長(左)

被災後の暮らしを守る

 東京は人口が多く、避難者が集中する避難所では、厳しい環境の中で不便な生活を強いられることになります。
 災害後も、各自がなるべく自宅等で過ごせるような備えが重要です。

防災用品等の備え
 現金や印鑑、衣類や衛生用品、携帯ラジオなど、非常用持ち出し品をリュックサック等に入れ、いつでも持ち出せる場所に準備しましょう。高齢者は常服薬、子供がいる家庭はミルクや紙おむつ、食べ慣れたお菓子類など、それぞれの状況に応じて必要な物をリストアップし、用意しておきます。
 消火器などの防災資材や、飲料水、非常食などの備蓄品は、定期的に点検をします。飲料水や非常食は一人最低3日分、可能であれば1週間分と言われています。
ローリングストックの勧め
 最近では、缶詰やレトルト食品など、食べ慣れた非常食を備蓄し、定期的に食べながら補充をして賞味期限切れを防ぐ「ローリングストック(回転備蓄)」と呼ばれる取り組みが広がっています。普段食べている物を少し多めに買い置きし、日常的に食べればよいだけなので、手軽に取り組めます。
ライフライン復旧までの代替確保

 ライフラインが断たれた場合を考え、電気、ガス、水道の代替手段を確認しておくことも大切です。例えば、電気の代替として「手作りランプ」の作り方を教わりました。材料はティッシュペーパー、アルミホイル、食用油、ジャムなどの空き瓶といった家にある物で、手軽に作ることができます。大地震後は余震も多く、ロウソクでは倒れて火災を起こす危険があります。このランプは、食用油を燃料にしているので、もし火に油がかかっても火が消えるため安全で、少量の油で長時間火を灯すことが可能です。

手作りランプ

家族で防災会議を

 東日本大震災の際には、東京では多くの人たちが帰宅困難となり、混乱が生じました。普段から、家族と災害時の行動や対応を話し合うことが大切です。例えば、複数の避難経路を決め、昼間と夜間、実際に一度歩いて危険箇所を把握しておくと良いそうです。連絡手段として、災害用伝言ダイヤル(171)などのサービスを体験して、利用方法を確認したり、親戚や友人宅を避難や連絡の拠点に決めておくなど、家族の状況に合わせて、一年に一度、話し合っておきましょう。

おわりに

 地震が起きたときに、自分の命を守り抜かなければ、いくら備えをしていても役立ちません。災害後を生き抜くためには、各自が、命を守りケガをしないための対策を取る必要があると感じました。まずは、近所の防災訓練に参加したり、救命講習を受けたり、関心のあることから始め、今年一年を安心安全に過ごしたいと思います。

投てき水パック煙フードなどの情報、手作りランプの作り方などは、市民防災研究所のホームページに掲載されています。
公益財団法人市民防災研究所
http://www.sbk.or.jp/

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