東京くらしねっと 6月号

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今月の話題 洗濯の心得 ~洗濯とクリーニングの基礎知識~ 実践女子大学 生活科学部教授 牛腸ヒロミ(ごちょう ひろみ)

今月の話題 イラスト 洗濯の心得

家で洗う?クリーニングに出す?判断は?

 被服に汚れが付いた時、汚れの性質と被服を構成している繊維の性質を考えて洗濯方法を選ぶ必要があります。
 一般に、家庭洗濯は水を使い、ドライクリーニングは有機溶剤を使います。有機溶剤は炭素化合物で油のような性質と考えてよいでしょう。
 被服に付く汚れは表1のように大きく3つに分類できます。
 例えば汗染みのような水溶性汚れが付着している場合、家庭洗濯ならば、水に溶けて簡単に落ちますが、ドライクリーニングでは、汗染みは有機溶剤に溶けないので、そのまま被服に残ってしまいます。バターのような油性汚れが付着している場合、家庭洗濯でも乳化させて汚れを落とすことができますが、油性汚れは有機溶剤に溶けるのでドライクリーニングで簡単に落ちます。
 どのような汚れでも、付いたらすぐに落としましょう。汚れは放置しておくと、太陽光中の紫外線や、空気中の酸素、湿気、温度などにより変性が起き、落ちにくくなります。汚れは付いたらすぐ落とすのが原則です。

 一方、被服を構成する繊維に目を転じると、セルロース繊維の綿は水になじみやすく、濡れても丈夫です。レーヨンは濡れると縮みます。タンパク質繊維の羊毛はアルカリ性の水溶液に浸して揉むと縮みます。は水になじみやすいですが、濡らしてこすると絹特有の光沢が消えます。ポリエステルアクリルナイロンのような合成繊維は親油性で水とはなじみにくいので、濡れても変形が起こりにくいのです。従って、一般に、レーヨンや羊毛、絹などでできている被服はドライクリーニングした方が変形は起こりにくい一方、親油性の合成繊維は洗濯しても変形しにくいので、家庭で手軽に洗えます。ただし、ジャケットのような上着類は洗濯により型崩れが起きやすいので、ドライクリーニングが適しています。
 このように、汚れの種類や量、繊維の種類や被服の種類を考えて、洗濯方法を選ぶのが基本です。

(表1)汚れの分類と性質

表示を見ましょう

 家庭用品品質表示法では、対象の繊維製品がどのような繊維でできているか(繊維の名称)、何%使われているか(混用率)などの品質表示や、洗濯、漂白、絞り方、アイロン処理、乾燥方法、ドライクリーニングに関する取扱い絵表示を示すことが義務付けられています。品質表示を見れば、被服を構成している繊維の種類が分かり、取扱い絵表示を見れば、適切な取り扱い方が分かります。

イラスト 子ども品質表示

 表2にJIS(日本工業規格)で定められている取扱い絵表示の一部を示します。
 103番は「液温は40℃を限度とし、洗濯機による洗濯ができる」という意味で、洗濯機で洗えるという表示です。数字は水温の上限です。もちろん手で洗っても構いません。洗濯機で洗う方が、手洗いより大きな力がかかり、変形や色落ちなどが生じやすいのです。
106番は手洗いのみの表示で洗濯機では洗えません。107番は家庭で水洗いできませんの表示で、403番はドライクリーニングできませんの表示です。×印がなければ「ドライクリーニングができます」の表示です。
 洗濯機・手洗い表示のものは、家庭で洗濯できます。「水洗いできません」の表示のものや、ドライクリーニングマークのものはドライクリーニングに出してください。前頁に述べたように、被服等に付いた汚れを落とす時に必要な情報は、主として汚れと繊維の性質ですが、被服には必ず染色や加工などが施されていて、洗濯方法によっては色落ちしたり、加工の機能が低下したりします。例えば染色物は色落ちする場合があるので、家庭洗濯では白物と色柄物は分けて洗濯した方がよい場合があります。表示に従って、適切な取り扱い方法を選びましょう。

(表2)JIS取扱い絵表示

洗剤、漂白剤、柔軟仕上げ剤は表示どおりの量を正確に量りましょう

 洗濯の効果を左右するのは、洗剤濃度、洗濯温度、洗濯時間、洗濯物の量、洗剤のpH(酸性・アルカリ性の程度)、洗濯機の種類などです。洗剤濃度については、感覚的には、より濃いほどきれいになるような気がしますが、図1に示すように、それはある一定濃度までです。標準使用濃度以上になると、洗濯の効果はほとんど変わらず、洗剤を入れるだけ無駄ということになります。つまり、洗剤は表示どおりの正しい量を使うのが、合理的であると言えます。
 洗剤は、図2に示すように、家庭用品品質表示法に基づいて品名、成分、液性、用途、正味量、使用量の目安、使用上の注意、表示者などの表示が義務付けられています。漂白剤や柔軟仕上げ剤も同様で、適正な使い方をしないと、布地を傷めたり、色落ちしたり、加工の機能を低下させます。最近では、柔軟仕上げ剤の香りに対する関心が高まり、適正量より多めに使う人が増えていることが、2010(平成22)年の石鹸洗剤工業会のアンケートから明らかになっています。柔軟仕上げ剤を多めに使うことにより、吸水性が低下したり、洗濯液中の汚れを吸着して再汚染が起こることも指摘されています。都内の消費生活センターには、香りの強さで気分が悪くなったり、頭痛や吐き気を生じる事例も報告されています。適正な使用量を心がけましょう。

(図1)洗濯の効果と洗剤濃度の関係
(図2)表示の一例

クリーニングに出す時の注意

 洗濯物をクリーニングに出す時には、どのような汚れが付いているのか、どのような使い方をしたのかをお店の人に説明し、処理方法や洗濯方法を相談します。様々な要素が重なると、
クリーニングトラブルが起こります。トラブルを避けるためには、クリーニングに出す時も、引き取る時も、お店の人と一緒に、洗濯物の状態をチェックしましょう。また、クリーニング店は、品質の高いサービスを提供している、LDマークやSマークの付いた店を選びましょう。破損や紛失などのトラブルの原因がクリーニング店にあった場合の補償は、「クリーニング事故賠償基準」を参考にします。
トラブル早期発見のためにも、洗濯物は早めに引き取り、早めに確認しましょう。

LDマーク Sマーク

まとめ

 日常生活に欠かせない洗濯の心得として、次のことが挙げられます。洗濯のコツをつかんで、皆さんも今日から快適な衣生活を送りましょう。

  • 汚れと繊維の性質を知って、手入れの仕方を考えましょう。
  • 取扱い絵表示を見て、洗濯物を仕分けましょう。取扱い絵表示の意味を理解しましょう。
  • 洗剤、仕上げ剤等は表示どおりに正確に量りましょう。多く入れても効果は上がりません。
  • クリーニングに出す時と引き取る時は、お店の人と一緒に品物の種類、シミ、処理方法や洗濯方法、仕上がり状態の確認をしましょう。
  • クリーニング事故に気付いたら速やかにクリーニング店に連絡しましょう。
東京都消費生活総合センター作成
牛腸ヒロミ監修 DVD
洗濯の心得
〜洗濯とクリーニングの基本〜
洗濯の基礎知識を習得するとともに、原因が特定しにくいトラブルの未然防止に向けて、その要因を紹介します。繊維の特性や取扱い絵表示などを理解しながら、適切に洗濯を行うために必要な情報や考え方を学べます。 東京くらしWEBのサイト上で視聴できます。
また、下記の図書資料室にて、視聴、貸出を行っています。

牛腸ヒロミ監修 DVD 洗濯の心得 〜洗濯とクリーニングの基本〜

今月の話題 洗濯の心得 ~洗濯とクリーニングの基礎知識~実践女子大学 生活科学部教授 牛腸ヒロミ(ごちょう ひろみ)何も考えずに洗濯物を洗濯機に入れてお洗濯をしたら、縮んだり、色落ち・色移りしたなどの経験がありませんか?家庭で洗濯をするものとドライクリーニングに出すものをどのように区別すればよいのでしょうか?合理的な洗濯について改めて考えていきましょう。

今月の話題 イラスト 洗濯の心得

家で洗う?クリーニングに出す?判断は?

 被服に汚れが付いた時、汚れの性質と被服を構成している繊維の性質を考えて洗濯方法を選ぶ必要があります。
 一般に、家庭洗濯は水を使い、ドライクリーニングは有機溶剤を使います。有機溶剤は炭素化合物で油のような性質と考えてよいでしょう。
 被服に付く汚れは表1のように大きく3つに分類できます。

(表1)汚れの分類と性質

 例えば汗染みのような水溶性汚れが付着している場合、家庭洗濯ならば、水に溶けて簡単に落ちますが、ドライクリーニングでは、汗染みは有機溶剤に溶けないので、そのまま被服に残ってしまいます。バターのような油性汚れが付着している場合、家庭洗濯でも乳化させて汚れを落とすことができますが、油性汚れは有機溶剤に溶けるのでドライクリーニングで簡単に落ちます。
 どのような汚れでも、付いたらすぐに落としましょう。汚れは放置しておくと、太陽光中の紫外線や、空気中の酸素、湿気、温度などにより変性が起き、落ちにくくなります。汚れは付いたらすぐ落とすのが原則です。
 一方、被服を構成する繊維に目を転じると、セルロース繊維の綿は水になじみやすく、濡れても丈夫です。レーヨンは濡れると縮みます。タンパク質繊維の羊毛はアルカリ性の水溶液に浸して揉むと縮みます。は水になじみやすいですが、濡らしてこすると絹特有の光沢が消えます。ポリエステルアクリルナイロンのような合成繊維は親油性で水とはなじみにくいので、濡れても変形が起こりにくいのです。従って、一般に、レーヨンや羊毛、絹などでできている被服はドライクリーニングした方が変形は起こりにくい一方、親油性の合成繊維は洗濯しても変形しにくいので、家庭で手軽に洗えます。ただし、ジャケットのような上着類は洗濯により型崩れが起きやすいので、ドライクリーニングが適しています。
 このように、汚れの種類や量、繊維の種類や被服の種類を考えて、洗濯方法を選ぶのが基本です。

表示を見ましょう

 家庭用品品質表示法では、対象の繊維製品がどのような繊維でできているか(繊維の名称)、何%使われているか(混用率)などの品質表示や、洗濯、漂白、絞り方、アイロン処理、乾燥方法、ドライクリーニングに関する取扱い絵表示を示すことが義務付けられています。品質表示を見れば、被服を構成している繊維の種類が分かり、取扱い絵表示を見れば、適切な取り扱い方が分かります。

イラスト 子ども品質表示

 表2にJIS(日本工業規格)で定められている取扱い絵表示の一部を示します。
 103番は「液温は40℃を限度とし、洗濯機による洗濯ができる」という意味で、洗濯機で洗えるという表示です。数字は水温の上限です。もちろん手で洗っても構いません。洗濯機で洗う方が、手洗いより大きな力がかかり、変形や色落ちなどが生じやすいのです。
106番は手洗いのみの表示で洗濯機では洗えません。107番は家庭で水洗いできませんの表示で、403番はドライクリーニングできませんの表示です。×印がなければ「ドライクリーニングができます」の表示です。

(表2)JIS取扱い絵表示

 洗濯機・手洗い表示のものは、家庭で洗濯できます。「水洗いできません」の表示のものや、ドライクリーニングマークのものはドライクリーニングに出してください。前頁に述べたように、被服等に付いた汚れを落とす時に必要な情報は、主として汚れと繊維の性質ですが、被服には必ず染色や加工などが施されていて、洗濯方法によっては色落ちしたり、加工の機能が低下したりします。例えば染色物は色落ちする場合があるので、家庭洗濯では白物と色柄物は分けて洗濯した方がよい場合があります。表示に従って、適切な取り扱い方法を選びましょう。

洗剤、漂白剤、柔軟仕上げ剤は表示どおりの量を正確に量りましょう

 洗濯の効果を左右するのは、洗剤濃度、洗濯温度、洗濯時間、洗濯物の量、洗剤のpH(酸性・アルカリ性の程度)、洗濯機の種類などです。洗剤濃度については、感覚的には、より濃いほどきれいになるような気がしますが、図1に示すように、それはある一定濃度までです。標準使用濃度以上になると、洗濯の効果はほとんど変わらず、洗剤を入れるだけ無駄ということになります。つまり、洗剤は表示どおりの正しい量を使うのが、合理的であると言えます。

(図1)洗濯の効果と洗剤濃度の関係

 洗剤は、図2に示すように、家庭用品品質表示法に基づいて品名、成分、液性、用途、正味量、使用量の目安、使用上の注意、表示者などの表示が義務付けられています。漂白剤や柔軟仕上げ剤も同様で、適正な使い方をしないと、布地を傷めたり、色落ちしたり、加工の機能を低下させます。最近では、柔軟仕上げ剤の香りに対する関心が高まり、適正量より多めに使う人が増えていることが、2010(平成22)年の石鹸洗剤工業会のアンケートから明らかになっています。柔軟仕上げ剤を多めに使うことにより、吸水性が低下したり、洗濯液中の汚れを吸着して再汚染が起こることも指摘されています。都内の消費生活センターには、香りの強さで気分が悪くなったり、頭痛や吐き気を生じる事例も報告されています。適正な使用量を心がけましょう。

(図2)表示の一例

クリーニングに出す時の注意

 洗濯物をクリーニングに出す時には、どのような汚れが付いているのか、どのような使い方をしたのかをお店の人に説明し、処理方法や洗濯方法を相談します。様々な要素が重なると、
クリーニングトラブルが起こります。トラブルを避けるためには、クリーニングに出す時も、引き取る時も、お店の人と一緒に、洗濯物の状態をチェックしましょう。また、クリーニング店は、品質の高いサービスを提供している、LDマークやSマークの付いた店を選びましょう。破損や紛失などのトラブルの原因がクリーニング店にあった場合の補償は、「クリーニング事故賠償基準」を参考にします。
トラブル早期発見のためにも、洗濯物は早めに引き取り、早めに確認しましょう。

LDマーク Sマーク

まとめ

 日常生活に欠かせない洗濯の心得として、次のことが挙げられます。洗濯のコツをつかんで、皆さんも今日から快適な衣生活を送りましょう。

  • 汚れと繊維の性質を知って、手入れの仕方を考えましょう。
  • 取扱い絵表示を見て、洗濯物を仕分けましょう。取扱い絵表示の意味を理解しましょう。
  • 洗剤、仕上げ剤等は表示どおりに正確に量りましょう。多く入れても効果は上がりません。
  • クリーニングに出す時と引き取る時は、お店の人と一緒に品物の種類、シミ、処理方法や洗濯方法、仕上がり状態の確認をしましょう。
  • クリーニング事故に気付いたら速やかにクリーニング店に連絡しましょう。
東京都消費生活総合センター作成
牛腸ヒロミ監修 DVD
洗濯の心得
〜洗濯とクリーニングの基本〜
洗濯の基礎知識を習得するとともに、原因が特定しにくいトラブルの未然防止に向けて、その要因を紹介します。繊維の特性や取扱い絵表示などを理解しながら、適切に洗濯を行うために必要な情報や考え方を学べます。 東京くらしWEBのサイト上で視聴できます。
また、下記の図書資料室にて、視聴、貸出を行っています。

牛腸ヒロミ監修 DVD 洗濯の心得 〜洗濯とクリーニングの基本〜

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