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TOKYO景観探訪 - 都内にある歴史的建造物をご紹介

旧多摩聖蹟記念館(多摩市)

高台の自然林の中に立つ、ユニークな景観の記念館

 旧多摩聖蹟記念館は、都立桜ヶ丘公園内に立つ歴史的建造物で、南多摩で唯一残る昭和初期の近代建築である。明治14年~17年に当地周辺に行幸した明治天皇を顕彰する記念館として、宮内大臣などを務めた田中光顕の呼びかけにより、昭和5(1930)年に竣工した。

 園内は起伏に富み、雑木林が生い茂る自然豊かな高台。遊歩道を上っていくと現れる同記念館のユニークな景観に、目を奪われる人も多いだろう。楕円形の建物が二つ重なり、正面にはタイル敷きの階段と柱式(梁付きの柱列)が巡っている。古代ギリシャ・ローマを思わせる、崇高な雰囲気だ。
 同記念館の設計は、昭和初期当時、モダンな作風で知られた関根要太郎と関根の事務所に在籍していた蔵田周忠によるもの。19世紀末から20世紀初頭にかけてドイツで流行した「ユーゲントシュティール」という、柔らかい曲線美を特徴にした様式の影響を受けている。

 同記念館は、建物自体が「多摩市指定文化財」及び東京都「特に景観上重要な歴史的建造物等」に選定されている文化財だ。加えて、明治天皇騎馬像が鎮座する館内にも、元・土佐藩士でもある田中が収集した坂本龍馬肖像画や西郷隆盛らの書など、貴重な文化財が展示されている。ぜひ足を運んでみてはいかがだろうか。なお、最寄り駅である「聖蹟桜ヶ丘」駅の名に付く「聖蹟」も、この記念館に由来する。

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所在地
多摩市連光寺五丁目1-1(都立桜ヶ丘公園内)
建設年
昭和5(1930)年
設計
関根要太郎、蔵田周忠
規模
地上1階
最寄駅
京王電鉄「聖蹟桜ヶ丘」駅または「京王永山」駅、小田急電鉄「小田急永山」駅からバス「記念館前」下車、徒歩約5分