
マルチ商法の中途解約
〜クーリング・オフ期間を過ぎても、商品を返品できる可能性があります〜
2カ月前、友人から「もうかるアルバイトがある」と誘われました。喫茶店で話を聞くと、「ネットワークビジネス」の説明をされました。健康食品を購入して販売し、会員を増やせば紹介料がもらえるという話で、「月に50万円は楽勝」「勝ち組になれる」「応援するから」などと熱心に勧誘されるうちに、次第に気分が高揚し、やってみたいと思うようになりました。ビジネス登録を行って、健康食品のセットを購入する契約をし、50万円のローンを組みました。入会後、身近な友人や家族を会員にするよう指示されたので、親しい友人を勧誘して、紹介料として7万円の収入を得ました。しかし、その後は思うように勧誘できず、逆に友人から避けられるようになってしまいました。勧誘時に説明された「月50万円」の収入は到底得られず、ローンの返済だけが残りました。購入した健康食品は5分の4が未開封なので、返品した上で脱会したいのですが、可能でしょうか。
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本件は、典型的なマルチ商法の被害事例です。マルチ商法とは、マルチレベルマーケティングプラン(多階層販売方式)の略称で、ネットワークビジネスと呼ばれることもあります。商品やサービスを販売する組織に加入し、会員を増やせばマージンが得られると言って勧誘し、組織を拡大する商法です。特定商取引法では、これを「連鎖販売取引」として規制しています。
特定商取引法は、1.20日間のクーリング・オフ期間 2.契約前に連鎖販売システムの概要を示した「概要書面」の交付、 契約時に「契約書面」の交付 3.中途解約権(ただし、 契約から1年以内、商品引渡しから90日以内)4.勧誘時の不実告知(事実でない事を告げること)の禁止などを規定しています。また、クーリング・オフの妨害行為があった場合には、20日間を経過してもクーリング・オフが可能です。不実告知があった場合には、契約を取り消すことができます。
今回のケースでは、契約書面を受領してから2カ月経過していたため、クーリング・オフは無理と判断しました。また、不実告知の証明が困難であったため、取消権の行使も難しいと思われました。そこで、センターでは相談者に、未使用の商品についての中途解約を助言しました。
その結果、事業者と争うことなく、健康食品の解約が認められ、未開封分の契約を解除することができ、未払金のうち、解約された商品相当分を支払う必要がなくなりました。また、事業者から、紹介料として得た利益7万円の返還が求められましたが、特定商取引法では、人を紹介して得た利益の返還を認めていません。そのことを説明し、粘り強く交渉した結果、7万円は返還せずにすみました。
平成16年11月の特定商取引法の改正で、連鎖販売取引に中途解約権が規定されたことにより、今回のように、合意解約がスムーズに行くケースが増えました。しかし、マルチ商法は、被害者自身が加害者にもなる上、友人を失う可能性があります。最も大切なことは、「楽してもうかる話はない」ということを自覚して、おいしい話には警戒する姿勢を持つことです。
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